「SQLite for Excel」 Excel VBAからSQLiteデータベースを使用する SQLポケリ [SQLポケリ]
えーと本日は、SQLiteネタである。
Webアプリ全盛な時代なのに、現場ではExcel使ってデータ入力したり、帳票出力するっていうところがいまだに多いようである。特に、街の小さな工場とか、商店とか。
Oracleデータベース使って、Webサーバと連携して、JavaScriptでリッチなクライアントを作成して、というのが流行りではあるものの「それはIT業界に限った話」でしかないのかも。
そもそも、小さな工場ならデータベースを使ったシステムなんか要らないのかも。
しかし、どういうわけか「現場の人はExcel好き」だったりする。ExcelのVLOOKUPやMATCH+INDEXじゃあパフォーマンス的に限界があるから、データベースに移行してくださいよ。といってもなかなか受け入れてもらえなかったりする。
普通にシステムを作成していても、Excelシートでデータを見たいんだけど...っていう要望が多かったり...
なぜか?
VBAが苦手。ましてやSQLなんて意味不明。Excel関数でできるじゃん。
という人が多いのであろう。
Excel使っているのなら、Access入れれば結構いい感じのシステムになりそうなのに。なんでイマドキMATCHやらINDEXとかのExcel関数使うのよ。もう。
Officeのプロフェッショナルは高い
Accessは、別に買わないといけない。
Excel、Word、OutlookはOfficeのセットなのだが、ここにAccessが入っていないので、高い方のOfficeを買わないといけない。それがネックなのか...
MS Accessの記事についてはこちらを参照されたし
じゃあ、SQL Server Express入れてしまえばいいじゃん。と思うのだが、これはシステム屋が考えることらしい。無料で使えるといっても、データベースサーバを導入することについては「敷居が高い」と思われている。
うーん。まぁねぇ。専用のサーバマシンを導入したくなるし、運用面を考えるとなぁ...
MySQLやPostgreSQLという線もあるのではあるが、こっちは一層敷居が高くなってしまう。
データベースサーバを入れたら、複数のユーザで使えるようなシステムにできるので、かなり効率アップできると思うのだが...
ちょっと話を整理する
Accessを買うのがもったいない
別にデータベースサーバが欲しいわけじゃない
ちょっと遅いけどExcelで十分じゃない
ということなのかも知れない。
じゃあ、Excel+SQLiteで万事うまくいくのでは?
そう思っている人も多いらしく「SQLite for Excel」というパッケージが存在する。
ExcelからSQLiteを使うときは、SQLiteのODBCドライバを入れる方法もある。
SQLite ODBCの記事
今回は、SQLite for Excelをやってみたい。
SQLite for Excelは以下のURLからダウンロードできる
SQLite for Excel
GitHubってよくわからないんだけど、Clone or downloadのDownload ZIPでダウンロードできる模様。
展開すると、Distributionのフォルダにsqlite3.dllとSQLite3_StdCall.dllが入っている。sqlite3.dllは、SQLiteのエンジンが入ったDLL。SQLite3_StdCall.dllは、sqliteのAPIをVBAからアクセスできるようにしたラップ関数が入ったDLLぽい。
Distributionのフォルダには、サンプルらしきExcelファイルがある。
開いてみよう。
SQLiteForExcel_64.xlsmを開いてみる
シートにはなにも書いてない。
Visual Basic Editorを起動してみる。
なんかあるぞ。
標準モジュールに、Sqlite3とSqliteDemoのふたつが存在している。
Sqlite3の方には、SQLITE_OKとかSQLiteのAPIでおなじみの定数定義があったりする。
おー、間違いなくSQLite用みたいだ。
Sqlite3Demoの方は、デモ用か。AllTestsでテストできるのか。
イミディエイトを開いておいて、マクロの実行からAllTestsを実行してみる。
なんかテストした!
本日は、ここまで。
「改訂第4版SQLポケットリファレンス」は、SQLiteにも対応しています。
SQLを勉強したいという方には以下の本をオススメしたい。
SQLiteのサイト
「SQLite ODBC」 Excel AccessからSQLiteデータベースを使用する
SQLiteでのデータ型
SQLite Androidアプリ開発 SQLiteデータベースを使用する
SQLポケットリファレンス 台湾版SQLポケットリファレンス 台湾版の紹介
SQLポケリが第4版になりました
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Webアプリ全盛な時代なのに、現場ではExcel使ってデータ入力したり、帳票出力するっていうところがいまだに多いようである。特に、街の小さな工場とか、商店とか。
Oracleデータベース使って、Webサーバと連携して、JavaScriptでリッチなクライアントを作成して、というのが流行りではあるものの「それはIT業界に限った話」でしかないのかも。
そもそも、小さな工場ならデータベースを使ったシステムなんか要らないのかも。
しかし、どういうわけか「現場の人はExcel好き」だったりする。ExcelのVLOOKUPやMATCH+INDEXじゃあパフォーマンス的に限界があるから、データベースに移行してくださいよ。といってもなかなか受け入れてもらえなかったりする。
普通にシステムを作成していても、Excelシートでデータを見たいんだけど...っていう要望が多かったり...
なぜか?
VBAが苦手。ましてやSQLなんて意味不明。Excel関数でできるじゃん。
という人が多いのであろう。
Excel使っているのなら、Access入れれば結構いい感じのシステムになりそうなのに。なんでイマドキMATCHやらINDEXとかのExcel関数使うのよ。もう。
Officeのプロフェッショナルは高い
Accessは、別に買わないといけない。
Excel、Word、OutlookはOfficeのセットなのだが、ここにAccessが入っていないので、高い方のOfficeを買わないといけない。それがネックなのか...
Microsoft Access 2016 (最新)|オンラインコード版
- 出版社/メーカー: マイクロソフト
- メディア: Software Download
MS Accessの記事についてはこちらを参照されたし
じゃあ、SQL Server Express入れてしまえばいいじゃん。と思うのだが、これはシステム屋が考えることらしい。無料で使えるといっても、データベースサーバを導入することについては「敷居が高い」と思われている。
うーん。まぁねぇ。専用のサーバマシンを導入したくなるし、運用面を考えるとなぁ...
MySQLやPostgreSQLという線もあるのではあるが、こっちは一層敷居が高くなってしまう。
データベースサーバを入れたら、複数のユーザで使えるようなシステムにできるので、かなり効率アップできると思うのだが...
ちょっと話を整理する
Accessを買うのがもったいない
別にデータベースサーバが欲しいわけじゃない
ちょっと遅いけどExcelで十分じゃない
ということなのかも知れない。
じゃあ、Excel+SQLiteで万事うまくいくのでは?
そう思っている人も多いらしく「SQLite for Excel」というパッケージが存在する。
ExcelからSQLiteを使うときは、SQLiteのODBCドライバを入れる方法もある。
SQLite ODBCの記事
今回は、SQLite for Excelをやってみたい。
SQLite for Excelは以下のURLからダウンロードできる
SQLite for Excel
GitHubってよくわからないんだけど、Clone or downloadのDownload ZIPでダウンロードできる模様。
展開すると、Distributionのフォルダにsqlite3.dllとSQLite3_StdCall.dllが入っている。sqlite3.dllは、SQLiteのエンジンが入ったDLL。SQLite3_StdCall.dllは、sqliteのAPIをVBAからアクセスできるようにしたラップ関数が入ったDLLぽい。
Distributionのフォルダには、サンプルらしきExcelファイルがある。
開いてみよう。
SQLiteForExcel_64.xlsmを開いてみる
シートにはなにも書いてない。
Visual Basic Editorを起動してみる。
なんかあるぞ。
標準モジュールに、Sqlite3とSqliteDemoのふたつが存在している。
Sqlite3の方には、SQLITE_OKとかSQLiteのAPIでおなじみの定数定義があったりする。
おー、間違いなくSQLite用みたいだ。
Sqlite3Demoの方は、デモ用か。AllTestsでテストできるのか。
イミディエイトを開いておいて、マクロの実行からAllTestsを実行してみる。
なんかテストした!
本日は、ここまで。
「改訂第4版SQLポケットリファレンス」は、SQLiteにも対応しています。
SQLを勉強したいという方には以下の本をオススメしたい。
Access クエリ 徹底活用ガイド ~仕事の現場で即使える
- 作者: 朝井 淳
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/05/25
- メディア: 大型本
SQLiteのサイト
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SQLポケットリファレンス 台湾版SQLポケットリファレンス 台湾版の紹介
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改訂第4版 SQLポケットリファレンス電子版 [SQLポケリ]
改訂第4版 SQLポケットリファレンス電子版
みなさん、こんにちは。本日もSQLポケットリファレンスの話題である。
前にも紹介したと思うが、最近では書籍の電子化が当たり前になってきている。SQLポケットリファレンスも改訂第3版を電子化するかどうか、といった話があったが、見送られていた。当時は、電子出版したら不正コピーが横行するのではないか、という心配があったからである。
そんな心配もあったが、時代の流れは電子化される方向に動いている。今回の改訂で、電子化されることになったのである。以下のURLから購入することができる。
[改訂第4版]SQLポケットリファレンス
https://gihyo.jp/dp/ebook/2016/978-4-7741-8826-3
技術評論社では、電子版と紙の本とで価格に差がない。どちらも同じ1980円。
電子版だと、印税率が高い。なので、私としては、電子版を購入してもらった方が嬉しいのであるが、電子版の売れ行きはあまり「よろしくない」らしい。
電子版は、PCやタブレットで閲覧することになる(PDFでダウンロードできる)。リファレンス的な内容の本は「ネット検索した方が早い」という場合が多いので、わざわざ、電子版の書籍を購入しなくても...
ということみたいである。
PDFを開いて検索するっていう方法もあるのだけれど...
電子機器持ち込み禁止
システム開発の現場によっては、「電子機器持ち込み禁止」というところがあるらしい。個人情報の流出が問題になるような、データセンターに入って開発や保守作業するのであれば、当然かも知れない。
PCはもちろんのこと、携帯電話、タブレット、デジカメ、USBメモリなどなど、今やちょっとしたデジタル機器でも数ギガのデータを入れることができるので、簡単に大量のデータを持ち出すことができてしまう。
そんな時は、紙媒体の資料を持ち込んで作業する、ということをするらしい(聞いた話なので)。
ふーん、なるほどね。それならSQLポケットリファレンスは「もってこい」じゃないですか。
でも、「電子機器持ち込み禁止」な現場で働いている開発者って、そう何人も居ないよね。あまり、期待はできないが、そんな辛い立場で開発している方は、紙媒体の「改訂第4版SQLポケットリファレンス」を宜しくお願いします。
マルチディスプレイ
普段システム開発している時は、Visual StudioやEclipseなんかのIDEを立ち上げてますよね。多分、ディスプレイを占有しているはず。
SQLの文法が分からないぞ、というときにSQLポケリを取り出して見ていると思う。電子版なら、PDFを開いてディスプレイ上で閲覧できる。サブディスプレイに出しておけば、とっても便利じゃない?サブディスプレイがない?それなら、スマホやタブレットに入れて見たらどう。
どちらでもお好きな方をどうぞ。
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SQLポケットリファレンスが第4版になりました
SQLポケットリファレンスの歴史
SQLポケットリファレンスの歴史その2
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みなさん、こんにちは。本日もSQLポケットリファレンスの話題である。
前にも紹介したと思うが、最近では書籍の電子化が当たり前になってきている。SQLポケットリファレンスも改訂第3版を電子化するかどうか、といった話があったが、見送られていた。当時は、電子出版したら不正コピーが横行するのではないか、という心配があったからである。
そんな心配もあったが、時代の流れは電子化される方向に動いている。今回の改訂で、電子化されることになったのである。以下のURLから購入することができる。
[改訂第4版]SQLポケットリファレンス
https://gihyo.jp/dp/ebook/2016/978-4-7741-8826-3
技術評論社では、電子版と紙の本とで価格に差がない。どちらも同じ1980円。
電子版だと、印税率が高い。なので、私としては、電子版を購入してもらった方が嬉しいのであるが、電子版の売れ行きはあまり「よろしくない」らしい。
電子版は、PCやタブレットで閲覧することになる(PDFでダウンロードできる)。リファレンス的な内容の本は「ネット検索した方が早い」という場合が多いので、わざわざ、電子版の書籍を購入しなくても...
ということみたいである。
PDFを開いて検索するっていう方法もあるのだけれど...
電子機器持ち込み禁止
システム開発の現場によっては、「電子機器持ち込み禁止」というところがあるらしい。個人情報の流出が問題になるような、データセンターに入って開発や保守作業するのであれば、当然かも知れない。
PCはもちろんのこと、携帯電話、タブレット、デジカメ、USBメモリなどなど、今やちょっとしたデジタル機器でも数ギガのデータを入れることができるので、簡単に大量のデータを持ち出すことができてしまう。
そんな時は、紙媒体の資料を持ち込んで作業する、ということをするらしい(聞いた話なので)。
ふーん、なるほどね。それならSQLポケットリファレンスは「もってこい」じゃないですか。
でも、「電子機器持ち込み禁止」な現場で働いている開発者って、そう何人も居ないよね。あまり、期待はできないが、そんな辛い立場で開発している方は、紙媒体の「改訂第4版SQLポケットリファレンス」を宜しくお願いします。
マルチディスプレイ
普段システム開発している時は、Visual StudioやEclipseなんかのIDEを立ち上げてますよね。多分、ディスプレイを占有しているはず。
SQLの文法が分からないぞ、というときにSQLポケリを取り出して見ていると思う。電子版なら、PDFを開いてディスプレイ上で閲覧できる。サブディスプレイに出しておけば、とっても便利じゃない?サブディスプレイがない?それなら、スマホやタブレットに入れて見たらどう。
どちらでもお好きな方をどうぞ。
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SQLポケットリファレンスが第4版になりました
SQLポケットリファレンスの歴史
SQLポケットリファレンスの歴史その2
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みなさんこんにちは、本日は、重大発表があります。SQLポケットリファレンス第4版 [SQLポケリ]
なんと、SQLポケットリファレンスが第4版になりました。
じゃーん。
例によって、歴代のSQLポケットリファレンスを並べてみると。
なかなか壮観である。
えーと、なんか自慢みたいでいやなのだが、増刷になると1冊だけだが、本を出版社からもらえる。増刷する際に、誤記を訂正できるので、その確認のためにくれるのだが、SQLポケットリファレンスの場合、けっこう増刷しているので、何冊もある。
机の上にあってもじゃまなので、古い版のやつは、押し入れにしまってあったりする。
刷数が違うやつも並べてみたら、机の上に乗りきらなかった。うーん、歴史を感じるなぁ。最初が1999年(平成11年)だから、もう17年か。
初版 1999年
第2版 2003年
第3版 2009年
第4版 2017年
今回の改訂では、対応データベースがひとつ増えた。SQLiteが増えている。日々、AndroidやiOSなどの携帯端末上でアプリを開発している、という開発者も多いことであろう。そんな、方々にもSQLポケットリファレンスを使ってもらおう。というのが今回の改訂の目論見のひとつでもあった。
組み込み系では、SQLなんて使わなくても、配列で十分、とか... サイズ的に重たいんじゃない?といった意見も多い。というか、「多かった」かなぁ。しかし、AndroidやiPhoneには標準で入っているし。これを使わない手はない。
それに、今や組み込みにしても、ギガ単位でストレージを持つことも珍しくない。流石にOracleをフルセットで導入、とかは無理かも知れないが、SQLiteなら数百キロくらいでOK。raspberry piなんか、メモリ1ギガも積んでるし。5000円なのに。
そういえば、昔Oracle Liteっていうのがあったなぁ。
ということで、進化を続けるSQLポケットリファレンスなのであるが、改訂する度にページ数は増えている。当然、内容を充実させてきた結果ではあるが。ちょっとまとめてみよう。
そんな感じで進化を続けてきたSQLポケットリファレンスであるが、変わっていないことがひとつある。
お気づきであろうか。
カバーの色が「緑」っていうことも、変化していないうちのひとつではあるが、それより決定的に変化していないものがある。
それは、
なんと、お値段がそのまま1980円なのである。
ページ数が増えればそれだけ、本の値段は高くなるのが普通。印刷するのにコストがかかるから。しかしながら、お値段は変わらず1980円なのである。
消費税が5%から8%になり、税込みでいうと、2079円から2138円に値上げされてしまった感があるが、本体価格は発売以来ずーと1980円なのである。
気になって、他のポケットリファレンスシリーズの価格も調べてみると、2000円台のものが多い。最近発行されたものは、2500円くらい。他の出版社さんでも2000円くらいが多いか。
いいんですかねぇ、こんなにお安くて。
まぁ、戦略としてはよいと思う。内容が充実しているのに、1980円なら「安い」と思えるでしょう。Web関係の開発者が、JavaScriptリファレンスが必要という状況で、SQLもあった方がよいか... ということになり、1980円なら、ついでに購入。っていうことが期待できそう。
なんにしても、新しくなった「改訂第4版SQLポケットリファレンス」をどうぞよろしくお願い致します。
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じゃーん。
例によって、歴代のSQLポケットリファレンスを並べてみると。
なかなか壮観である。
えーと、なんか自慢みたいでいやなのだが、増刷になると1冊だけだが、本を出版社からもらえる。増刷する際に、誤記を訂正できるので、その確認のためにくれるのだが、SQLポケットリファレンスの場合、けっこう増刷しているので、何冊もある。
机の上にあってもじゃまなので、古い版のやつは、押し入れにしまってあったりする。
刷数が違うやつも並べてみたら、机の上に乗りきらなかった。うーん、歴史を感じるなぁ。最初が1999年(平成11年)だから、もう17年か。
初版 1999年
第2版 2003年
第3版 2009年
第4版 2017年
今回の改訂では、対応データベースがひとつ増えた。SQLiteが増えている。日々、AndroidやiOSなどの携帯端末上でアプリを開発している、という開発者も多いことであろう。そんな、方々にもSQLポケットリファレンスを使ってもらおう。というのが今回の改訂の目論見のひとつでもあった。
組み込み系では、SQLなんて使わなくても、配列で十分、とか... サイズ的に重たいんじゃない?といった意見も多い。というか、「多かった」かなぁ。しかし、AndroidやiPhoneには標準で入っているし。これを使わない手はない。
それに、今や組み込みにしても、ギガ単位でストレージを持つことも珍しくない。流石にOracleをフルセットで導入、とかは無理かも知れないが、SQLiteなら数百キロくらいでOK。raspberry piなんか、メモリ1ギガも積んでるし。5000円なのに。
そういえば、昔Oracle Liteっていうのがあったなぁ。
ということで、進化を続けるSQLポケットリファレンスなのであるが、改訂する度にページ数は増えている。当然、内容を充実させてきた結果ではあるが。ちょっとまとめてみよう。
版 | ページ数 | 対応DB |
初版 | 416 | Oracle、SQL Server、MS Access |
第2版 | 600 | Oracle、SQL Server、DB2、PostgreSQL、MySQL、MS Access |
第3版 | 640 | Oracle、SQL Server、DB2、PostgreSQL、MySQL、MS Access |
第4版 | 656 | Oracle、SQL Server、DB2、PostgreSQL、MySQL、SQLite、MS Access |
そんな感じで進化を続けてきたSQLポケットリファレンスであるが、変わっていないことがひとつある。
お気づきであろうか。
カバーの色が「緑」っていうことも、変化していないうちのひとつではあるが、それより決定的に変化していないものがある。
それは、
なんと、お値段がそのまま1980円なのである。
ページ数が増えればそれだけ、本の値段は高くなるのが普通。印刷するのにコストがかかるから。しかしながら、お値段は変わらず1980円なのである。
消費税が5%から8%になり、税込みでいうと、2079円から2138円に値上げされてしまった感があるが、本体価格は発売以来ずーと1980円なのである。
気になって、他のポケットリファレンスシリーズの価格も調べてみると、2000円台のものが多い。最近発行されたものは、2500円くらい。他の出版社さんでも2000円くらいが多いか。
いいんですかねぇ、こんなにお安くて。
まぁ、戦略としてはよいと思う。内容が充実しているのに、1980円なら「安い」と思えるでしょう。Web関係の開発者が、JavaScriptリファレンスが必要という状況で、SQLもあった方がよいか... ということになり、1980円なら、ついでに購入。っていうことが期待できそう。
なんにしても、新しくなった「改訂第4版SQLポケットリファレンス」をどうぞよろしくお願い致します。
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SQLポケットリファレンスの歴史
SQLポケットリファレンスの歴史その2
第4版には電子版もあります。
改訂第4版 SQLポケットリファレンス電子版
SQLポケットリファレンス 台湾版「最新SQL語法範例辭典」
SQLポケットリファレンスの歴史
SQLポケットリファレンスの歴史その2
第4版には電子版もあります。
改訂第4版 SQLポケットリファレンス電子版
SQLポケットリファレンス 台湾版「最新SQL語法範例辭典」
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onclick事件 [SQLポケリ]
先日、ネタになりそうな話を聞いたので、久しぶりにブログを更新してみる。
ハンディターミナルを扱っている販売代理店の方と食事をする機会があり、その中で聞いた話である。
工場が中国にあるそうで、そことのやりとりも多いそうである。やりとりは英語が中心になるそうなのであるが、たまに日本語も入ってくるらしい。
とある日のメールに「onclick事件」がどうのこうのと書いてあったらしい。担当者は、何か工場で事件があったのか?とビビったようである。
何かのボタンをクリックしたら火を噴いたとか...
オチは、どうということはない。どうやら、eventのことは「事件」と訳されているというだけの話。
向こうの担当者は普通に、OnClickEventの話をしていたようなのだが、中途半端に訳してしまったものだから、混乱してしまったようである。しかし、
onclick事件
って書かれたらなんか意味深である。
気になって、「onclick事件」で検索してみたら、出てくる出てくる。これは結構笑える。
以前に、SQLポケットリファレンスの台湾版を紹介しているが、ここにも「何たら事件」がないかパラパラとめくってみた。
GUI系ではないので、イベントは出てこないか...
残念。
目次を見ていくと、面白いキーワードを発見。「物件資料表」て何だ。
物件、物件?、物件??、不動産関係の本じゃないんだけど、物件って何?
対応するページを見てみると、わかった。どうも「オブジェクト」が「物件」に訳されている。
ふーん。
「物件資料表」=「オブジェクトテーブル」
ということらしい。
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ハンディターミナルを扱っている販売代理店の方と食事をする機会があり、その中で聞いた話である。
工場が中国にあるそうで、そことのやりとりも多いそうである。やりとりは英語が中心になるそうなのであるが、たまに日本語も入ってくるらしい。
とある日のメールに「onclick事件」がどうのこうのと書いてあったらしい。担当者は、何か工場で事件があったのか?とビビったようである。
何かのボタンをクリックしたら火を噴いたとか...
オチは、どうということはない。どうやら、eventのことは「事件」と訳されているというだけの話。
向こうの担当者は普通に、OnClickEventの話をしていたようなのだが、中途半端に訳してしまったものだから、混乱してしまったようである。しかし、
onclick事件
って書かれたらなんか意味深である。
気になって、「onclick事件」で検索してみたら、出てくる出てくる。これは結構笑える。
以前に、SQLポケットリファレンスの台湾版を紹介しているが、ここにも「何たら事件」がないかパラパラとめくってみた。
GUI系ではないので、イベントは出てこないか...
残念。
目次を見ていくと、面白いキーワードを発見。「物件資料表」て何だ。
物件、物件?、物件??、不動産関係の本じゃないんだけど、物件って何?
対応するページを見てみると、わかった。どうも「オブジェクト」が「物件」に訳されている。
ふーん。
「物件資料表」=「オブジェクトテーブル」
ということらしい。
関連記事
SQLポケットリファレンス 台湾版「SQL語法範例辭典」
SQLポケットリファレンスが第4版になりました
SQLポケットリファレンス 台湾版「SQL語法範例辭典」
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CROSS APPLY (LATERAL) で関数とJOIN(結合)して見る [SQLポケリ]
本日は、SQLネタである。
少し前に、結合方法について書いてみた(INNER JOINとかの記事のことです)。
NATURAL JOINが最新の結合方法、と書いてみたりしたのだが、これよりもっと新しそうなのを発見してしまった。
「CROSS APPLY」というやつである。以前からその存在は知っていた(*1)のだが、Oracle12cで採用になったのでちょっと調べてみることにした。
こんな感じで使います。
*1
SQL Serverのマニュアルでxml列のメソッドnodes()を使うときに、CROSS APPLYを使っている。
CROSS APPLYはMS SQL Serverでは、2005からできることになっている。マニュアルには、テーブルを戻す関数をCROSS APPLYすると便利ですよ"的な"例が載っている。
そうなのか、じゃあやってみるか。
まずは、CROSS APPLYの左側に指定するテーブルを作成してみた。このテーブルfooに対してCROSS APPLYで交差適用(とでもいうのだろうか)、をやってみたいと思う。
CROSS APPLYの右側には、テーブル値を戻す関数を指定するといいよ、とのことなので、関数を作成してみる。引数でもらった値の行数分だけ連番を戻すような関数を作成する。
説明しなくてもいいよね。
この関数を実行したら、以下のような結果を戻す。
これで、CROSS APPLYの左右が揃った。fooとfun_barを結合してみるわけであるが、テーブルfooと関数func_barを単純に結合するのではなく、foo.aをfunc_barの引数に渡して結合したいのである。
そんな時に、CROSS APPLYを使うとよいらしい。違うかなぁ...まぁ、やってみよう。
func_barに渡した引数で戻りの行数が異なる。これを考慮して、交差結合した感じになった。
a=1の行 func_barの戻す行=1 (0)
a=2の行 func_barの戻す行=2 (0,1)
a=3の行 func_barの戻す行=3 (0,1,2)
まぁ、そういうもんでしょう。
CROSS APPLYの左右を逆にすることはできない。
はエラーになる。foo.aが最初に出現するので、これがわからん、と文句をいわれる。
マニュアルには関数なら便利だよ的なことが書いてあるので、関数じゃなければいけないかというと、そうでもない。テーブル値を戻せばよいだけなので、サブクエリでも良い。
もうひとつテーブルを作成してみよう。
barテーブルを作成した。これをSELECTするサブクエリをCROSS APPLYしてみよう。
できた。
a=3の行がなくなってしまっているが、「OUTER APPLY」にすれば取得可能となる。
えーと、これって普通のINNER JOINやLEFT JOINと「どう違うのだろう?」と思いません?
INNER JOINで書くとするのなら、以下のようにすればよいと思うのだが...
結合条件をサブクエリのWHEREで書いているか、FROMのONで書いているかの違いはあるのか。
CROSS APPLYを単にINNER JOINには変更できない。以下のようにすると、エラーになる。
ONで条件式を書いていない、というのは横に置いておくとしても、サブクエリの中で、fooを使うことはできない。fooはわかりません、というエラーになる。
ああ、そうか、こういう場合、SELECT句にサブクエリ書いて逃げてきたかも。でも、SELECT句に書くとスカラ値を返さなくてはいけなくなって、散々苦労した覚えが...
LATERALインラインビューというものがある。これを使えば、INNER JOINでもCROSS APPLYのようなことができてしまうのである。
LATERALインラインビューにするには、サブクエリの前にLATERALキーワードを付けるだけ。
SQL Serverでは、LATERALをサポートしていないので、エラーになってしまったが、Oracle12c、PostgreSQLでは実行できる。
OUTER APPLYにしたい場合は、LEFT JOINを使えば良い。
結合条件を冗長に記述しないといけないのが、ちょっと美しくないが、しょうがない。
ちなみに、LATERALはSQL標準である。CROSS APPLYばベンダ拡張。
SQLポケリ第4版にはCROSS APPLY載ってます。
2021/07/11追記
LATERALで冗長にONを書かないといけないと書いた。JOIN構文なのでONを記述しなければならないが、サブクエリと全く同じ条件を書く必要はないことがわかった。
なんなら、ON TRUEとしてしまうことも可能である。
と書くこともできる。
Postgresで確認。Oracleではできるか不明。
SQL NATURAL JOIN 自然結合 (というか結合のあれこれ)
SQL WITH句 再帰クエリー RECURSIVE SQLポケリ
SQLポケットリファレンスの歴史
SQLポケットリファレンスの歴史その2
SQLポケットリファレンスが第4版になりました
改訂第4版 SQLポケットリファレンス電子版
ProxmoxにOracle23cを入れてみる【OL9には入らない】
データベースにおける正規表現【REGEXP】
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少し前に、結合方法について書いてみた(INNER JOINとかの記事のことです)。
NATURAL JOINが最新の結合方法、と書いてみたりしたのだが、これよりもっと新しそうなのを発見してしまった。
「CROSS APPLY」というやつである。以前からその存在は知っていた(*1)のだが、Oracle12cで採用になったのでちょっと調べてみることにした。
こんな感じで使います。
SELECT * FROM foo CROSS APPLY func_bar(foo.a) AS FB
*1
SQL Serverのマニュアルでxml列のメソッドnodes()を使うときに、CROSS APPLYを使っている。
CROSS APPLYはMS SQL Serverでは、2005からできることになっている。マニュアルには、テーブルを戻す関数をCROSS APPLYすると便利ですよ"的な"例が載っている。
そうなのか、じゃあやってみるか。
CREATE TABLE foo ( a INTEGER, b VARCHAR(10) ); INSERT INTO foo VALUES(1,'one'); INSERT INTO foo VALUES(2,'two'); INSERT INTO foo VALUES(3,'three');
まずは、CROSS APPLYの左側に指定するテーブルを作成してみた。このテーブルfooに対してCROSS APPLYで交差適用(とでもいうのだろうか)、をやってみたいと思う。
CROSS APPLYの右側には、テーブル値を戻す関数を指定するといいよ、とのことなので、関数を作成してみる。引数でもらった値の行数分だけ連番を戻すような関数を作成する。
CREATE FUNCTION func_bar(@no int) RETURNS @result TABLE (a int) AS BEGIN DECLARE @i int SET @i = 0 WHILE @i < @no BEGIN INSERT INTO @result SELECT @i SET @i = @i + 1 END RETURN END
説明しなくてもいいよね。
この関数を実行したら、以下のような結果を戻す。
SELECT * FROM func_bar(2); a ------ 0 1
これで、CROSS APPLYの左右が揃った。fooとfun_barを結合してみるわけであるが、テーブルfooと関数func_barを単純に結合するのではなく、foo.aをfunc_barの引数に渡して結合したいのである。
そんな時に、CROSS APPLYを使うとよいらしい。違うかなぁ...まぁ、やってみよう。
SELECT * FROM foo CROSS APPLY func_bar(foo.a) AS FB a b a_1 --------------- 1 one 0 2 two 0 2 two 1 3 three 0 3 three 1 3 three 2
func_barに渡した引数で戻りの行数が異なる。これを考慮して、交差結合した感じになった。
a=1の行 func_barの戻す行=1 (0)
a=2の行 func_barの戻す行=2 (0,1)
a=3の行 func_barの戻す行=3 (0,1,2)
まぁ、そういうもんでしょう。
CROSS APPLYの左右を逆にすることはできない。
SELECT * FROM func_bar(foo.a) AS FB CROSS APPLY foo
はエラーになる。foo.aが最初に出現するので、これがわからん、と文句をいわれる。
マニュアルには関数なら便利だよ的なことが書いてあるので、関数じゃなければいけないかというと、そうでもない。テーブル値を戻せばよいだけなので、サブクエリでも良い。
もうひとつテーブルを作成してみよう。
CREATE TABLE bar ( a INTEGER, b VARCHAR(20) ) INSERT INTO bar VALUES(1,'uno'); INSERT INTO bar VALUES(1,'一'); INSERT INTO bar VALUES(2,'due'); INSERT INTO bar VALUES(2,'二');
barテーブルを作成した。これをSELECTするサブクエリをCROSS APPLYしてみよう。
SELECT * FROM foo CROSS APPLY ( SELECT * FROM bar WHERE foo.a = bar.a ) AS SB a b a_1 a_2 -------------------- 1 one 1 uno 1 one 1 一 2 two 2 due 2 two 2 二
できた。
a=3の行がなくなってしまっているが、「OUTER APPLY」にすれば取得可能となる。
OUTER APPLY
SELECT * FROM foo OUTER APPLY ( SELECT * FROM bar WHERE foo.a = bar.a ) AS SB a b a_1 a_2 -------------------- 1 one 1 uno 1 one 1 一 2 two 2 due 2 two 2 二 3 three null null
えーと、これって普通のINNER JOINやLEFT JOINと「どう違うのだろう?」と思いません?
INNER JOINで書くとするのなら、以下のようにすればよいと思うのだが...
SELECT * FROM foo INNER JOIN ( SELECT * FROM bar ) AS SB ON foo.a = SB.a
結合条件をサブクエリのWHEREで書いているか、FROMのONで書いているかの違いはあるのか。
CROSS APPLYを単にINNER JOINには変更できない。以下のようにすると、エラーになる。
SELECT * FROM foo INNER JOIN ( SELECT * FROM bar WHERE foo.a = bar.a ) AS SB
ONで条件式を書いていない、というのは横に置いておくとしても、サブクエリの中で、fooを使うことはできない。fooはわかりません、というエラーになる。
ああ、そうか、こういう場合、SELECT句にサブクエリ書いて逃げてきたかも。でも、SELECT句に書くとスカラ値を返さなくてはいけなくなって、散々苦労した覚えが...
LATERAL
LATERALインラインビューというものがある。これを使えば、INNER JOINでもCROSS APPLYのようなことができてしまうのである。
LATERALインラインビューにするには、サブクエリの前にLATERALキーワードを付けるだけ。
SELECT * FROM foo INNER JOIN LATERAL ( SELECT * FROM bar WHERE foo.a = bar.a ) SB
SQL Serverでは、LATERALをサポートしていないので、エラーになってしまったが、Oracle12c、PostgreSQLでは実行できる。
OUTER APPLYにしたい場合は、LEFT JOINを使えば良い。
SELECT * FROM foo LEFT JOIN LATERAL ( SELECT * FROM bar WHERE foo.a = bar.a ) SB ON foo.a = SB.a
結合条件を冗長に記述しないといけないのが、ちょっと美しくないが、しょうがない。
ちなみに、LATERALはSQL標準である。CROSS APPLYばベンダ拡張。
SQLポケリ第4版にはCROSS APPLY載ってます。
2021/07/11追記
LATERALで冗長にONを書かないといけないと書いた。JOIN構文なのでONを記述しなければならないが、サブクエリと全く同じ条件を書く必要はないことがわかった。
なんなら、ON TRUEとしてしまうことも可能である。
SELECT * FROM foo LEFT JOIN LATERAL ( SELECT * FROM bar WHERE foo.a = bar.a ) SB ON TRUE
と書くこともできる。
Postgresで確認。Oracleではできるか不明。
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テーブルのパーティッション分割 [SQLポケリ]
本日のネタもデータベースである。
最近のデータベースでは、テーブルを「パーティッションに区切る」ということが可能。
最近といっても、もうかなり前からかも。えーと、Oracleだと、10gくらいからか?
しかし、Enterprise Editionじゃないと使えないっぽい。ケチだよね、Oracleって。
DB2はV9から。なんだ、やっぱり割と最近じゃない?
SQL Serverは、2005。ということは、約10年前。10年ひと昔、というから割と古いのかも。
MySQLでは、5.1からか。PostgreSQLは一応は対応しているのか。
でもってパーティッションに分割すると、どんないいことがあるかというと。
・パフォーマンスアップ
・データの管理がしやすくなる
といったところか。
テーブルをパーティッションに区切ると効率的なのは、ログデータのように、履歴を保存しておくような場合。
パーティッションに分割するといっても、けっこういろいろなパターンがあるようなので、ここで一回整理しよう。
・レンジパーティッション
テーブルを時系列で分割するような分割方法。
2000年のデータ
2001年のデータ
2002年のデータ
のように、時間や数値の範囲で分割していく手法。
・リストパーティッション
テーブルのある列をキーにして分割するような分割方法。
男性のデータ
女性のデータ
のように、データの取る値によって、保存先のパーティッションを決定する方法。
・ハッシュパーティッション
テーブルのある列から、ハッシュ値を計算して、その値から分割する方法。
分割したいのだけど、どの値で分割してよいかわからない場合に、ハッシュパーティッションが有効。
・コンポジットパーティッション
なんかよくわからないが、リストとハッシュの組み合わせ、とかでやるものか。
まぁ、メジャーなのは、以下の3つか。
・レンジパーティッション
・リストパーティッション
・ハッシュパーティッション
ひとつひとつみていこうか。
レンジパーティッション
これは、紹介した通り、値の範囲で分割しましょう、という考えやすい分割方法である。
パーティッションの定義は、CREATE TABLEでテーブルを作成する際にする。後で変更する場合は、ALTER TABLEを使う。
上記のようなテーブルがあったとする。普通に実行すれば、テーブルが作成されるが、パーティッション分割は行われない。
これをパーティッションに分割してみよう。
パーティッションに分割するためには、PARTITION句が必要になる。PARTITION句では、どの列で分割を行うのか、それに加え、どのような条件で分割を行うのかを指定する。
partition_testでは、日付のd列を使って、レンジパーティッションで分割するようにしたいと思う。レンジパーティッションでは、PARTITION BY RANGEを使用する。ここまでをSQLにしてみると、以下のようになる。
まだ十分でないため、実行してもエラーになる。
PARTITION BYには、分割のための条件式が必要になる。分割したい数分だけパーティッションの名前と条件を列挙する。
partition_testでは、年を単位にしてパーティッションを分割しようと思う。
これで、ふたつのパーティッションに分割されることになる。必要なら、TABLESPACEを指定して、保存先のストレージを分けるということもできる。
日付で分割する場合、パーティッションのメンテナンスが必要になる。つまり2017年になったら、パーティッションを増やしてやる必要がある。保存しておく必要がなくなった古いデータをパーティッションごと削除する、ということも可能である。既存テーブルへのパーティッションの追加、削除は、ALTER TABLE命令で行う。
パーティッションの追加
パーティッションの削除
パーティッション内のレコードは全部なくなってしまうので注意。
この他、パーティッションのメンテナンスとしては、既存のパーティッションをさらに分割(SPLIT)したり、ふたつのパーティッションを統合(MERGE)したりすることができる。
パーティッションを作成したからといって、INSERTやUPDATEを行う際に、パーティッションを意識する必要はない。普通にINSERTすればよい。
2016-01-01より前のレコードは、パーティッション year1 に、2017-01-01より前のレコードは、パーティッション year2 に自動的に記録される。
しかしである。記録すべきパーティッションが見つからない場合は、エラーになるので注意したい。こういった場合、最大値までのパーティッションを作成しておくと、間違いがない。最大値は、MAXVALUEで指定可能。
SELECTで問い合わせを行う際には、パーティションを意識した方が、パフォーマンス向上が期待できる(かも知れない)。
データの検索を2015年のデータに限って行いたいのであれば、パーティッションyear1のみからデータを検索すれば、高速。パーティッションを指定するには、以下のようにする。
だいたい、こんな感じだろうか。
では、次に、リストパーティッションについてみていこう。
リストパーティッション
レンジパーティッションは、値の範囲でパーティッション分割を行っている。リストパーティッションでは、キーとなる列の値をリストで定義する。
ユーザ管理が行われているテーブルを例にしてみる。以下のように、レコードデータにユーザIDが付けられている。多くのWebアプリケーションシステムでユーザ管理が行われていると思う。今回は、そういったシステムでユーザIDをキーにして、パーティッション分割を行ってみる想定である。
まずは、テーブルの定義を見てみよう。
userId列が、ユーザIDを示す列である。通常、ユーザ間のデータ共有ってまず行われない。ユーザ間のコミュニケーションが目的のシステムであれば話は別であるが、ブログとか、ショッピングサイトなら、他ユーザの情報は見えないし、見せてはいけないものとなる。
ユーザごとに、パーティッション分割してしまえば、何かと便利なんじゃないか、という発想である。
こういった用途で、リストパーティッションを使うことができる。リストパーティッションは、PARTITION BY LISTで定義する。partition_test2では、userIdをキーに分割したいので、PARTITION BY LIST (userId)とする。レンジパーティッション同様に、分割するパーティッションを列挙していくが、分割の条件がLESS THANではなく、単にVALUESに値を列挙するだけとなる。
じゃーん。こんな感じでパーティッション分割してみた。
ユーザuser1とuser2は同じパーティッションlist1に含まれることになる。user3は単独でパーティッションlist2に記録される。その他のユーザは、listxに入ることになる。
データの追加は通常のINSERTでOK。
パーティッションを指定することも可能ではあるが、あまりメリットはない。
間違えたパーティッションにINSERTしようとするとエラーになる。
レコードを検索する際に、パーティッション指定をすると、便利かも知れない。
パーティッション分割していないテーブルだとWHERE条件でユーザIDを指定しないといけない。
上記の例では、user1とuser2が同じパーティッションに入るので、やはりWHERE条件は必要になるかも知れないが、ユーザひとりについてひとつのパーティッションを割り当てます、というルールにすれば、そのテーブルをそのユーザ専用にすることができる。うまいことキーを設定してやれば、めんどうな結合条件を省略できるのでは、という話である。
これ開発中のシステムでも使いたいな、でもEnterprise Editionじゃないとだめなのか。
ハッシュパーティッション
レンジ、リストとふたつのパーティッションをみてきた。どちらもパーティッションに分割するためのキーが必要であったが、キーに対してひとつの列しか与えることができない。PARTITION BY RANGE (a,b,c) ということはできないのである。PARTITION BY LISTでも同様。
複数の列からパーティッション分割の条件を設定したい場合は、ハッシュパーティッションを使用すればよい。
前の例では、ユーザIDでリストパーティッション分割を行った。大規模なシステムでは、ユーザーIDだけではなく、ドメインとユーザIDでユーザ管理できることが往々にしてある。その場合、以下のようなテーブルになるであろう。
domainとuserIdでユニークになるようなデータ構造となる。パーティッション分割する際に、domainだけでは不十分。userIdも付けたい。しかし、複数列を許してくれない。ハッシュパーティッションにすれば、この問題を解決できる。
ハッシュパーティッションでは、複数の値からひとつの「ハッシュ値」を計算し、それを元にパーティッション分割する。この値のときは、このパーティッションに記録する、という条件を指定することはできない。データベースシステムの方で勝手に記録先が決定してしまう。
ハッシュ値の特性から、同じ値を与えれば、同じ記録先になる。例えば、キー'domain1','user1'のレコードがパーティッションhash1に記録されたとする。以降、パーティッション分割数を変更しない限り、キー'domain1','user1'の記録先は、常にパーティッションhash1に記録される。
どのパーティッションに記録されたかを調べるには、USER_OBJECTSテーブルの、SUBOBJECT_NAMEを参照するとわかる。
USER_OBJECTSテーブルのOBJECT_IDを調べるには、DBMS_ROWID.ROWID_OBJECT(rowid)を使用する。rowidは、レコードの疑似列。
よくわからないでしょうから、SELECT命令にします。
今回はここまでとする。
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最近のデータベースでは、テーブルを「パーティッションに区切る」ということが可能。
最近といっても、もうかなり前からかも。えーと、Oracleだと、10gくらいからか?
しかし、Enterprise Editionじゃないと使えないっぽい。ケチだよね、Oracleって。
DB2はV9から。なんだ、やっぱり割と最近じゃない?
SQL Serverは、2005。ということは、約10年前。10年ひと昔、というから割と古いのかも。
MySQLでは、5.1からか。PostgreSQLは一応は対応しているのか。
でもってパーティッションに分割すると、どんないいことがあるかというと。
・パフォーマンスアップ
・データの管理がしやすくなる
といったところか。
テーブルをパーティッションに区切ると効率的なのは、ログデータのように、履歴を保存しておくような場合。
パーティッションに分割するといっても、けっこういろいろなパターンがあるようなので、ここで一回整理しよう。
・レンジパーティッション
テーブルを時系列で分割するような分割方法。
2000年のデータ
2001年のデータ
2002年のデータ
のように、時間や数値の範囲で分割していく手法。
・リストパーティッション
テーブルのある列をキーにして分割するような分割方法。
男性のデータ
女性のデータ
のように、データの取る値によって、保存先のパーティッションを決定する方法。
・ハッシュパーティッション
テーブルのある列から、ハッシュ値を計算して、その値から分割する方法。
分割したいのだけど、どの値で分割してよいかわからない場合に、ハッシュパーティッションが有効。
・コンポジットパーティッション
なんかよくわからないが、リストとハッシュの組み合わせ、とかでやるものか。
まぁ、メジャーなのは、以下の3つか。
・レンジパーティッション
・リストパーティッション
・ハッシュパーティッション
ひとつひとつみていこうか。
レンジパーティッション
これは、紹介した通り、値の範囲で分割しましょう、という考えやすい分割方法である。
パーティッションの定義は、CREATE TABLEでテーブルを作成する際にする。後で変更する場合は、ALTER TABLEを使う。
CREATE TABLE partition_test ( no INTEGER, d DATE, amount INTEGER )
上記のようなテーブルがあったとする。普通に実行すれば、テーブルが作成されるが、パーティッション分割は行われない。
これをパーティッションに分割してみよう。
パーティッションに分割するためには、PARTITION句が必要になる。PARTITION句では、どの列で分割を行うのか、それに加え、どのような条件で分割を行うのかを指定する。
partition_testでは、日付のd列を使って、レンジパーティッションで分割するようにしたいと思う。レンジパーティッションでは、PARTITION BY RANGEを使用する。ここまでをSQLにしてみると、以下のようになる。
CREATE TABLE partition_test ( no INTEGER, d DATE, amount INTEGER ) PARTITION BY RANGE (d)
まだ十分でないため、実行してもエラーになる。
PARTITION BYには、分割のための条件式が必要になる。分割したい数分だけパーティッションの名前と条件を列挙する。
partition_testでは、年を単位にしてパーティッションを分割しようと思う。
CREATE TABLE partition_test ( no INTEGER, d DATE, amount INTEGER ) PARTITION BY RANGE (d) ( PARTITION year1 VALUES LESS THAN(TO_DATE('2016-01-01', 'YYYY-MM-DD')), PARTITION year2 VALUES LESS THAN(TO_DATE('2017-01-01', 'YYYY-MM-DD')) )
これで、ふたつのパーティッションに分割されることになる。必要なら、TABLESPACEを指定して、保存先のストレージを分けるということもできる。
日付で分割する場合、パーティッションのメンテナンスが必要になる。つまり2017年になったら、パーティッションを増やしてやる必要がある。保存しておく必要がなくなった古いデータをパーティッションごと削除する、ということも可能である。既存テーブルへのパーティッションの追加、削除は、ALTER TABLE命令で行う。
パーティッションの追加
ALTER TABLE partition_test ADD PARTITION year3 VALUES LESS THAN(TO_DATE('2018-01-01', 'YYYY-MM-DD'))
パーティッションの削除
ALTER TABLE partition_test DROP PARTITION year1
パーティッション内のレコードは全部なくなってしまうので注意。
この他、パーティッションのメンテナンスとしては、既存のパーティッションをさらに分割(SPLIT)したり、ふたつのパーティッションを統合(MERGE)したりすることができる。
パーティッションを作成したからといって、INSERTやUPDATEを行う際に、パーティッションを意識する必要はない。普通にINSERTすればよい。
INSERT INTO partition_test VALUES(1, '2015-01-01', 10); INSERT INTO partition_test VALUES(2, '2015-12-31', 20); INSERT INTO partition_test VALUES(3, '2016-01-01', 30); INSERT INTO partition_test VALUES(4, '2016-12-31', 40);
2016-01-01より前のレコードは、パーティッション year1 に、2017-01-01より前のレコードは、パーティッション year2 に自動的に記録される。
しかしである。記録すべきパーティッションが見つからない場合は、エラーになるので注意したい。こういった場合、最大値までのパーティッションを作成しておくと、間違いがない。最大値は、MAXVALUEで指定可能。
CREATE TABLE partition_test ( no INTEGER, d DATE, amount INTEGER ) PARTITION BY RANGE (d) ( PARTITION year1 VALUES LESS THAN(TO_DATE('2016-01-01', 'YYYY-MM-DD')), PARTITION year2 VALUES LESS THAN(TO_DATE('2017-01-01', 'YYYY-MM-DD')), PARTITION yearx VALUES LESS THAN(MAXVALUE) )
SELECTで問い合わせを行う際には、パーティションを意識した方が、パフォーマンス向上が期待できる(かも知れない)。
データの検索を2015年のデータに限って行いたいのであれば、パーティッションyear1のみからデータを検索すれば、高速。パーティッションを指定するには、以下のようにする。
SELECT * FROM partition_test PARTITION(year1)
だいたい、こんな感じだろうか。
では、次に、リストパーティッションについてみていこう。
リストパーティッション
レンジパーティッションは、値の範囲でパーティッション分割を行っている。リストパーティッションでは、キーとなる列の値をリストで定義する。
ユーザ管理が行われているテーブルを例にしてみる。以下のように、レコードデータにユーザIDが付けられている。多くのWebアプリケーションシステムでユーザ管理が行われていると思う。今回は、そういったシステムでユーザIDをキーにして、パーティッション分割を行ってみる想定である。
まずは、テーブルの定義を見てみよう。
CREATE TABLE partition_test2 ( userId VARCHAR2(10) NOT NULL, no INTEGER NOT NULL, d DATE, amount INTEGER, PRIMARY KEY(userId, no) )
userId列が、ユーザIDを示す列である。通常、ユーザ間のデータ共有ってまず行われない。ユーザ間のコミュニケーションが目的のシステムであれば話は別であるが、ブログとか、ショッピングサイトなら、他ユーザの情報は見えないし、見せてはいけないものとなる。
ユーザごとに、パーティッション分割してしまえば、何かと便利なんじゃないか、という発想である。
こういった用途で、リストパーティッションを使うことができる。リストパーティッションは、PARTITION BY LISTで定義する。partition_test2では、userIdをキーに分割したいので、PARTITION BY LIST (userId)とする。レンジパーティッション同様に、分割するパーティッションを列挙していくが、分割の条件がLESS THANではなく、単にVALUESに値を列挙するだけとなる。
CREATE TABLE partition_test2 ( userId VARCHAR2(10) NOT NULL, no INTEGER NOT NULL, d DATE, amount INTEGER, PRIMARY KEY (userId, no) ) PARTITION BY LIST (userId) ( PARTITION list1 VALUES ('user1', 'user2'), PARTITION list2 VALUES ('user3'), PARTITION listx VALUES (DEFAULT) )
じゃーん。こんな感じでパーティッション分割してみた。
ユーザuser1とuser2は同じパーティッションlist1に含まれることになる。user3は単独でパーティッションlist2に記録される。その他のユーザは、listxに入ることになる。
データの追加は通常のINSERTでOK。
INSERT INTO partition_test2 VALUES('user1', 1, '2016-04-01', 100);
パーティッションを指定することも可能ではあるが、あまりメリットはない。
INSERT INTO partition_test2 PARTITION(list1) VALUES('user1', 2, '2016-04-02', 101);
間違えたパーティッションにINSERTしようとするとエラーになる。
INSERT INTO partition_test2 PARTITION(list2) VALUES('user1', 2, '2016-04-02', 101);
レコードを検索する際に、パーティッション指定をすると、便利かも知れない。
SELECT * FROM partition_test2 PARTITION(list1);
パーティッション分割していないテーブルだとWHERE条件でユーザIDを指定しないといけない。
SELECT * FROM partition_test2 WHERE userId = 'user1';
上記の例では、user1とuser2が同じパーティッションに入るので、やはりWHERE条件は必要になるかも知れないが、ユーザひとりについてひとつのパーティッションを割り当てます、というルールにすれば、そのテーブルをそのユーザ専用にすることができる。うまいことキーを設定してやれば、めんどうな結合条件を省略できるのでは、という話である。
これ開発中のシステムでも使いたいな、でもEnterprise Editionじゃないとだめなのか。
ハッシュパーティッション
レンジ、リストとふたつのパーティッションをみてきた。どちらもパーティッションに分割するためのキーが必要であったが、キーに対してひとつの列しか与えることができない。PARTITION BY RANGE (a,b,c) ということはできないのである。PARTITION BY LISTでも同様。
複数の列からパーティッション分割の条件を設定したい場合は、ハッシュパーティッションを使用すればよい。
前の例では、ユーザIDでリストパーティッション分割を行った。大規模なシステムでは、ユーザーIDだけではなく、ドメインとユーザIDでユーザ管理できることが往々にしてある。その場合、以下のようなテーブルになるであろう。
CREATE TABLE partition_test3 ( domain VARCHAR2(10) NOT NULL, userId VARCHAR2(10) NOT NULL, no INTEGER NOT NULL, d DATE, amount INTEGER, PRIMARY KEY (domain, userId, no) )
domainとuserIdでユニークになるようなデータ構造となる。パーティッション分割する際に、domainだけでは不十分。userIdも付けたい。しかし、複数列を許してくれない。ハッシュパーティッションにすれば、この問題を解決できる。
CREATE TABLE partition_test3 ( domain VARCHAR2(10) NOT NULL, userId VARCHAR2(10) NOT NULL, no INTEGER NOT NULL, d DATE, amount INTEGER, PRIMARY KEY (domain, userId, no) ) PARTITION BY HASH (domain, userId) ( PARTITION hash1, PARTITION hash2, PARTITION hash3 )
ハッシュパーティッションでは、複数の値からひとつの「ハッシュ値」を計算し、それを元にパーティッション分割する。この値のときは、このパーティッションに記録する、という条件を指定することはできない。データベースシステムの方で勝手に記録先が決定してしまう。
ハッシュ値の特性から、同じ値を与えれば、同じ記録先になる。例えば、キー'domain1','user1'のレコードがパーティッションhash1に記録されたとする。以降、パーティッション分割数を変更しない限り、キー'domain1','user1'の記録先は、常にパーティッションhash1に記録される。
どのパーティッションに記録されたかを調べるには、USER_OBJECTSテーブルの、SUBOBJECT_NAMEを参照するとわかる。
USER_OBJECTSテーブルのOBJECT_IDを調べるには、DBMS_ROWID.ROWID_OBJECT(rowid)を使用する。rowidは、レコードの疑似列。
よくわからないでしょうから、SELECT命令にします。
SELECT * FROM ( SELECT DBMS_ROWID.ROWID_OBJECT(ROWID) object_id, domain, userId FROM partition_test3 ) NATURAL JOIN USER_OBJECTS ;
今回はここまでとする。
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タグ:SQL
SQL NATURAL JOIN 自然結合 (というか結合のあれこれ) [SQLポケリ]
SQLの基本はテーブル。テーブル同士を結合するようなSELECT命令を作成して、帳票出力なり、画面表示なりを行っていくことが基本である。つまり結合は基本なわけであるが、その当たりの詳細は、「[データベースの気持ちがわかる]SQLはじめの一歩」を是非読んでみて欲しい。
さて、結合の方法には、歴史がある。RDBMSは、古くからある。最初のレガシーな結合は、というと以下のような感じで行っていた。何せ、SQLには歴史があるからねぇ。
FROM句には、テーブルを列挙するが、ここにはアクセスするテーブル名だけを書く。結合条件は書かない。
WHEREに行を選択する条件式を書くのだが、レガシーなSQLでは結合条件もここに書くのである。
結合の基本は「交差結合」。なので基本は、交差結合で得られる「直積」の中から「条件を付けて選び出す」というのが、結合の基本であるわけである。
一方、NATURAL JOINは次のように書くことができる
結合条件がテーブルの列から自動的に決定するので条件式を書かなくてよい。ここが便利なところである。
SQLのSELECT命令では結合を行うことが多いのだが、いろいろとやり方があり、歴史的に変化もしてきている。ちょっと結合のやり方を整理してみよう。
普通の結合は、普通の画面や帳票を作る上では、普通に便利であった。直積から、条件に一致する行だけを抽出する、といった単純な処理方法であるため、扱いやすかった。
しかし、である。
「例外」というのは、いつの世の世界でも存在するもので「データがまだ揃っていない状況でも画面表示したい」とか、バグで「データがない状態でもなんとか表示させたい」というあまり「美しくない理由」で"外部結合"という方法が編み出された(と思う。あくまで推測です)。
考え方自体はどれも同じであったが、実装方法が異なっていた。
例えば、Oracleでは、外部結合を以下のように行っていた。
「(+)」っていうなんか得体の知れない、独特の「演算子みたいなもの」を作ってしまったのである。
これに対して、MS SQL Serverでは、以下のように外部結合することができた。
演算子を追加することで、外部結合ができるようにしたのだが... Oracleとは違う。
そう、いわゆる方言なわけです。
この辺りのことは「[データベースの気持ちがわかる]SQLはじめの一歩」にはあまり書いてない。SQLポケットリファレンスには書いてあるか。
どちらかというと、Oracleより、SQL Serverの方が素直な感じ、というか、自分の考えに近いので、受け入れ易いと思う。開発者としては、演算子が増えるのには、意外と抵抗がない。しかし、Oracleの外部結合のように、式のわけがわからない位置に、わけわからない、記号が来ると「パニック」になるわけです。(+)っていう演算子なんて「Oracle以外で見たことないし!」。
どちらが良いかは置いておいて、同じことをするのに、データベースごとにやり方が異なると、開発者は困るわけです。どっちにも対応できるように作っておけ、と言われてしまうと、#ifdefの山になってしまうわけで... これはソースを見ると「読み難い」んです。とっても。
でもって、標準化団体が動き出したわけです。
結合は、「JOIN」を使ってやりましょう。ということになったのである。JOINはFROM句に書く。結合には、交差結合、内部結合、外部結合などいろいろな種類がある。JOINでは、その前に種類を指定することができる。
CROSS JOIN なら、交差結合。
INNER JOIN なら、内部結合。
LEFT OUTER JOIN なら、左側のテーブルを残す外部結合。
RIGHT OUTER JOIN なら、右側。
FULL OUTER JOIN なら、両方残す。
と決めたわけです。
交差結合を除いて、結合条件を指定しなければならない。WHEREに書いてきたやつですね。JOINの左右にはテーブル名を書くのだが、その後に「ONを付けて、結合条件式を書く」と決定したのです。
という内部結合なら、以下のようにJOINで書くことができる。
外部結合でもやってみるか。
どちらもLEFT JOINを使って、
とすればOK。
OUTERは省略できる。
FULL OUTER JOINは、(+)や*=では、できない。
Oracleの(+)方式でやろうと思ったら、以下のようになる。
SQL Server方式なら以下
(+)の連続や、*=*演算子は使えないので、どちらもエラーになる。
FULL OUTER JOINはサポートしているデータベースなら実行できる。
どうでもいいが、syntax highlighterでOUTERとかJOINがハイライトされないが...
JOINくらいはあってもいいのではないかと...
後で見てみよう。
ついでに、CROSS JOINもやってみようか
CROSS JOINでは結合条件がない。
USING
時代が進むと、USINGを使った結合条件を書くことも可能になってきた。
普通にテーブルを作成したら、プライマリキーとなっている列は、列名に「気を配って」作成される。商品マスタの商品コード列は、syohin_cdという名前を付けておいて、別のテーブルで商品マスタを参照する場合は、syohin_cdという同じ名前の列を作成することでしょう。
なので、結合条件は、以下のような感じになることが多い。
結構、式が長いよね。
結合条件が同じ列名であるのなら、USINGを使うことができる。
おお、これなら書く量が少なくて済む。いいね。
USINGだと、括弧の中には、列名しか書けない。結合の両方のテーブルで「同じ列名であることが前提」となる。
同じ列名であっても、型が微妙に違っていたりすると問題が発生するかも知れない。
普通のテーブル設計では、データの紐付けに使用する列は、列名、型とも一致させておくことがセオリーであろう。USINGはそのようなスキーマになっていれば、問題なくUSINGを使うことができる。
USINGでは、条件式で使われる演算子は、=に限定される。BETWEENやら>を使うときは、ONにしないといけない。まぁ、普通の結合では、=しか使わないので、この点については問題ないかと。
外部結合でもUSINGが使えることもある(データベース依存?)。
SQL Server、DB2、AccessではUSINGは使えない。
長々と説明してきたが、今回紹介したかったのはNATURAL JOINである。NATURAL JOINは「一番新しい結合の方法」かもしれない。
すみません。NATURAL JOINがなかなか出てこないので、ブログのタイトルを少し変えました。
NATUAL JOINを使うと条件式を記述しなくてもよい。結合するテーブル同士で同じ名前の列をすべて等しい条件に自動的になる。
テーブルfooとbarが以下のようにスキーマ定義されていたとする。
NATURAL JOINすると結合条件は、暗黙的に「foo.a = bar.a」となる。
NATURAL JOINは、Oracle、MySQL、PostgreSQL、SQLiteで使用できる。
本日は以上。
SQLポケットリファレンスの歴史
SQLポケットリファレンスの歴史その2
SQLポケットリファレンスが第4版になりました
改訂第4版 SQLポケットリファレンス電子版
CROSS APPLY (LATERAL) で関数とJOIN(結合)して見る
第4版にはNATURAL JOIN載ってます
結合がわからないという初心者の方にはこちらがおススメです。
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[データベースの気持ちがわかる]SQLはじめの一歩 (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 朝井 淳
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2015/03/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
さて、結合の方法には、歴史がある。RDBMSは、古くからある。最初のレガシーな結合は、というと以下のような感じで行っていた。何せ、SQLには歴史があるからねぇ。
SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a = bar.a
FROM句には、テーブルを列挙するが、ここにはアクセスするテーブル名だけを書く。結合条件は書かない。
WHEREに行を選択する条件式を書くのだが、レガシーなSQLでは結合条件もここに書くのである。
結合の基本は「交差結合」。なので基本は、交差結合で得られる「直積」の中から「条件を付けて選び出す」というのが、結合の基本であるわけである。
一方、NATURAL JOINは次のように書くことができる
SELECT * FROM foo NATURAL JOIN bar
結合条件がテーブルの列から自動的に決定するので条件式を書かなくてよい。ここが便利なところである。
SQLのSELECT命令では結合を行うことが多いのだが、いろいろとやり方があり、歴史的に変化もしてきている。ちょっと結合のやり方を整理してみよう。
外部結合
普通の結合は、普通の画面や帳票を作る上では、普通に便利であった。直積から、条件に一致する行だけを抽出する、といった単純な処理方法であるため、扱いやすかった。
しかし、である。
「例外」というのは、いつの世の世界でも存在するもので「データがまだ揃っていない状況でも画面表示したい」とか、バグで「データがない状態でもなんとか表示させたい」というあまり「美しくない理由」で"外部結合"という方法が編み出された(と思う。あくまで推測です)。
考え方自体はどれも同じであったが、実装方法が異なっていた。
例えば、Oracleでは、外部結合を以下のように行っていた。
SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a = bar.a(+)
「(+)」っていうなんか得体の知れない、独特の「演算子みたいなもの」を作ってしまったのである。
これに対して、MS SQL Serverでは、以下のように外部結合することができた。
SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a *= bar.a
演算子を追加することで、外部結合ができるようにしたのだが... Oracleとは違う。
そう、いわゆる方言なわけです。
この辺りのことは「[データベースの気持ちがわかる]SQLはじめの一歩」にはあまり書いてない。SQLポケットリファレンスには書いてあるか。
どちらかというと、Oracleより、SQL Serverの方が素直な感じ、というか、自分の考えに近いので、受け入れ易いと思う。開発者としては、演算子が増えるのには、意外と抵抗がない。しかし、Oracleの外部結合のように、式のわけがわからない位置に、わけわからない、記号が来ると「パニック」になるわけです。(+)っていう演算子なんて「Oracle以外で見たことないし!」。
どちらが良いかは置いておいて、同じことをするのに、データベースごとにやり方が異なると、開発者は困るわけです。どっちにも対応できるように作っておけ、と言われてしまうと、#ifdefの山になってしまうわけで... これはソースを見ると「読み難い」んです。とっても。
でもって、標準化団体が動き出したわけです。
結合は、「JOIN」を使ってやりましょう。ということになったのである。JOINはFROM句に書く。結合には、交差結合、内部結合、外部結合などいろいろな種類がある。JOINでは、その前に種類を指定することができる。
CROSS JOIN なら、交差結合。
INNER JOIN なら、内部結合。
LEFT OUTER JOIN なら、左側のテーブルを残す外部結合。
RIGHT OUTER JOIN なら、右側。
FULL OUTER JOIN なら、両方残す。
と決めたわけです。
交差結合を除いて、結合条件を指定しなければならない。WHEREに書いてきたやつですね。JOINの左右にはテーブル名を書くのだが、その後に「ONを付けて、結合条件式を書く」と決定したのです。
SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a = bar.a
という内部結合なら、以下のようにJOINで書くことができる。
SELECT * FROM foo INNER JOIN bar ON foo.a = bar.a
外部結合でもやってみるか。
SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a = bar.a(+) SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a *= bar.a
どちらもLEFT JOINを使って、
SELECT * FROM foo LEFT JOIN bar ON foo.a = bar.a
とすればOK。
OUTERは省略できる。
FULL OUTER JOINは、(+)や*=では、できない。
Oracleの(+)方式でやろうと思ったら、以下のようになる。
SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a(+) = bar.a(+)
SQL Server方式なら以下
SELECT * FROM foo, bar WHERE foo.a *=* bar.a
(+)の連続や、*=*演算子は使えないので、どちらもエラーになる。
FULL OUTER JOINはサポートしているデータベースなら実行できる。
SELECT * FROM foo FULL OUTER JOIN bar ON foo.a = bar.a
どうでもいいが、syntax highlighterでOUTERとかJOINがハイライトされないが...
JOINくらいはあってもいいのではないかと...
後で見てみよう。
ついでに、CROSS JOINもやってみようか
SELECT * FROM foo CROSS JOIN bar
CROSS JOINでは結合条件がない。
USING
時代が進むと、USINGを使った結合条件を書くことも可能になってきた。
普通にテーブルを作成したら、プライマリキーとなっている列は、列名に「気を配って」作成される。商品マスタの商品コード列は、syohin_cdという名前を付けておいて、別のテーブルで商品マスタを参照する場合は、syohin_cdという同じ名前の列を作成することでしょう。
なので、結合条件は、以下のような感じになることが多い。
syohin INNER JOIN uriage ON syohin.syohin_cd = uriage.syohin_cd
結構、式が長いよね。
結合条件が同じ列名であるのなら、USINGを使うことができる。
syohin INNER JOIN uriage USING(syohin_cd)
おお、これなら書く量が少なくて済む。いいね。
USINGだと、括弧の中には、列名しか書けない。結合の両方のテーブルで「同じ列名であることが前提」となる。
同じ列名であっても、型が微妙に違っていたりすると問題が発生するかも知れない。
普通のテーブル設計では、データの紐付けに使用する列は、列名、型とも一致させておくことがセオリーであろう。USINGはそのようなスキーマになっていれば、問題なくUSINGを使うことができる。
USINGでは、条件式で使われる演算子は、=に限定される。BETWEENやら>を使うときは、ONにしないといけない。まぁ、普通の結合では、=しか使わないので、この点については問題ないかと。
外部結合でもUSINGが使えることもある(データベース依存?)。
SQL Server、DB2、AccessではUSINGは使えない。
NATURAL JOIN
長々と説明してきたが、今回紹介したかったのはNATURAL JOINである。NATURAL JOINは「一番新しい結合の方法」かもしれない。
すみません。NATURAL JOINがなかなか出てこないので、ブログのタイトルを少し変えました。
NATUAL JOINを使うと条件式を記述しなくてもよい。結合するテーブル同士で同じ名前の列をすべて等しい条件に自動的になる。
テーブルfooとbarが以下のようにスキーマ定義されていたとする。
CREATE TABLE foo ( a INTEGER, b INTEGER ) CREATE TABLE bar ( a INTEGER, c VARCHAR(20) )
NATURAL JOINすると結合条件は、暗黙的に「foo.a = bar.a」となる。
SELECT * FROM foo NATURAL JOIN bar
NATURAL JOINは、Oracle、MySQL、PostgreSQL、SQLiteで使用できる。
本日は以上。
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SQLポケットリファレンスの歴史その2
SQLポケットリファレンスが第4版になりました
改訂第4版 SQLポケットリファレンス電子版
CROSS APPLY (LATERAL) で関数とJOIN(結合)して見る
第4版にはNATURAL JOIN載ってます
結合がわからないという初心者の方にはこちらがおススメです。
サイト内を検索
WITH 再帰クエリ その2 [SQLポケリ]
さて、今回もWITH再帰クエリである。
なんとか再帰クエリを書いて、実行させることができたが、なんか「ありがたみ」がない。
なぜかといえば、再帰的にデータを検索しているが、検索するだけでなんの演算もしていないから。今回は再帰ならではの演算をさせてみよう。
ツリー構造には再帰、ということを前回も紹介したが「ツリー構造ならでは」の情報を計算させることにしてみる。表形式のデータは、行と列を指定すれば、一つのセルが決定して、その中に入っているデータを参照できる。
ツリー構造のデータでは、何階層目に位置するデータなのか、といった情報も結構重要であったりする。
1
┣ 2
┃ ┗ 4
┗ 3
例にしている、データは上のようになっていた。
ルートノードとなっている、1のデータは「最初の階層にある」と言って良いと思う。最初を0とするか1とするかの決め事があると思うが、ここでは、最初は0ということにしよう。1の子である、2と3のノードは、階層1になる。2の子である4のノードはさらに下の階層2。
TREE_DATAテーブルの行を見てみると、以下のようになっている。
階層をコメントで記載した。このような結果を計算したいのである。
普通のSELECT命令だけではこのような計算はできない。集計関数を使っても無理かも。ユーザ定義関数ならできるか。
そこで、WITH再帰クエリの登場となる。
初期化ブランチで検索できる行は、すべてルートノードと言って良い。なので、初期化ブランチに引っかかった行は、階層0として良い。
WITH句では、列を決定できるが、計算によって生成されるデータであっても良い。まずは、列LVLを作って、初期化ブランチで0を返してみよう。UNION ALL後の再帰クエリではとりあえず、NULLを戻しておく。
とりあえずは、ルートノードのLVLは0になった。コメントで示した階層に一つ近づいた。
では、次の段階へ進もう。
UNION ALLの後の再帰クエリで、とりあえずNULLとしたところを変更していけば、良いことはなんとなくわかるが、どうしたら良いものか。
TREE_DATAテーブルには、LVLの情報はないので、計算するしかない。tdは、一時テーブルなので、前回の再帰処理の結果がわかるはず。そうか、td.LVLを見ればOKかも?
おっと、全部0になってしまった。
そりゃ、そうか。どっかでインクリメントしないとね。
td.LVL + 1で戻せばOKだろうか。やってみよう。
いいね。
NNO=1はルートノードなので0。
NNO=2と3は、1の子ノードなので、階層は1。OKです。
NNO=4は、1->2->4といった「パス」を経由することになるので、階層は2でOK。2回遷移した(矢印が二つ)。
前回、解説していった「再帰のn回目」みたいなことが、LVLで計算できた!っていうことなんです。
TREE_DATAとtdを結合することで、再帰の前後のデータの両方を参照することができる。というのが、再帰クエリの一番の特徴なのかな。
パスから値を計算する
見事に階層を計算することができた。
最後に、NODE_DATAの合計を計算する再帰クエリを紹介してみたいと思う。
ノード4のNDATA_TOTALに注目して欲しい。計算された値は400となっている。これは、以下の計算式で計算されたものである。
100 + 200 + 100
ノード1 -> ノード2 -> ノード4と再帰のパスを通ってくることになるのだが、その時のNDATAの値を順番に足し算していった結果がNDATA_TOTALとなる。
SUMは、グループの合計を計算する。仮にノード1,2,4と言うグループ分けができれば、SUM集計関数を使用してNDATA_TOTALを計算できなくもない。そんな変なグループ化ができないので、SUM集計関数では計算できないのである。おっと、OracleにはCONNECT BYみたいな文法があるんだっけか?これは要調査か。
再帰の循環
何も考えずに、自分自身を呼び出すと無限ループに陥る、といった話をしたかと思う。WITHの再帰クエリでは、再帰呼び出しできる場所が限定されているので、無限ループしてしまうことが少ないようになっている。
それでも、データの作り方によっては、「再帰の循環」が発生してしまうこともある。
ツリー構造では、ルートから子が生えていって、いずれは子を持たないノードになる。末端のノードは、リーフノードとも呼ばれる。
また、通常は、子ノードが祖先のノードに先祖返りしてしまうこともない。そのようになっていると、タイムリープが発生することになり、親子関係が時系列順に並ばなくなってしまう。なんか、難しい?図にしたら以下のようなことである。
1
┣ 2
┃ ┗ 4
┗ 3
┗ 1
3の子に1がある。3の親も1である。
親ノードへのポインタを持つツリー構造では、こう言ったデータを作成することはできない。上の図は無理やり描いただけ。
と思ったが、TREE_DATAテーブルでNODE_NOがプライマリキーになっていなければ可能か。TREE_DATAテーブルにもその行をプライマリキーを外して追加してみた。
これを先ほどの再帰クエリにかけるとどうなるのか。やってみよう。
エラーになりました。
無限ループになっちゃったわけである。
CYCLE
さて、これを回避する方法もちゃんとあります。
WITH句のオプションでCYCLEというものがある。これを使って循環を検出できるような列を書いておく。CYCLEに続けて、SET なになに、と式を書くがここはあまり重要ではなく、フラグの名前とフラグの値を0/1にします程度のこと。
CYCLEに続けて、再帰の過程で記録しておくべき列を指定する。記録しておいた値が再度出現したら循環とみなし、再帰を停止する。複数であっても良いが、WITH句のパラメータにふくまれている仮想な列を指定する必要がある。
例で言うのなら、TREE_DATAテーブルのNODE_NOは、指定不可で、NNOならOK。
CYCLE 列名 の後のSET LOOP_FLAG TO 1 DEFAULT 0は、循環の検出に使用するフラグの名前と値。
WITHで定義される仮想表に自動的にこの列が追加される。面倒な指定だが省略することはできない。
フラグの値は、数値でなくてもよく、1文字の文字列でも可。SET LOOP_FLAG TO 'Y' DEFAULT 'N'とすることもできる。数値の場合でも桁数が1。
数値、文字のどちらの場合でも、ふたつ指定する値がどちらも同じであってはいけない。SET LOOP_FLAG TO 0 DEFAULT 0はダメ。違いがわからないもんね。
CYCLE指定する列は、例の場合は、NNOが適切。PNOでも循環を検出できるが、以下のように1段階、再帰が深いところまで進んで行われる。
用語や方言について
WITH再帰クエリについて、解説してきた。すべて、Oracle11gで実行して検証している。SQL ServerでもWITHで再帰させることが可能ではあるものの、CYCLEが使えなかったりするので注意が必要。
PostgreSQLでは、WITH RECURSIVE ...と再帰クエリとする場合は、RECURSIVEを明示しないとダメかも。
Oracle11gではRECURSIVE指定はできない。もーまた方言作っちゃって。まぁ、CONNECT BYよりはいいか。
初期化ブランチという用語も「Oracleならでは」なのかも。UNION ALLの前後のSELECT命令をなんと呼ぶかについては結構DBによってバラバラ?
SQL標準だと、「非再帰項」と「再帰項」となっている。非再帰項は最初の初期化の時だけしか評価されないので、名前としては初期化項の方がわかりやすいと思うが。「再帰を含まない初期化クエリ」とでもしておくか。
UNION ALLの前後にどちらを書いても良い、というのが非常に嫌な感じ。説明しにくいじゃないか。
再帰についてはここまで。
サイト内を検索
なんとか再帰クエリを書いて、実行させることができたが、なんか「ありがたみ」がない。
なぜかといえば、再帰的にデータを検索しているが、検索するだけでなんの演算もしていないから。今回は再帰ならではの演算をさせてみよう。
ツリー構造には再帰、ということを前回も紹介したが「ツリー構造ならでは」の情報を計算させることにしてみる。表形式のデータは、行と列を指定すれば、一つのセルが決定して、その中に入っているデータを参照できる。
ツリー構造のデータでは、何階層目に位置するデータなのか、といった情報も結構重要であったりする。
1
┣ 2
┃ ┗ 4
┗ 3
例にしている、データは上のようになっていた。
ルートノードとなっている、1のデータは「最初の階層にある」と言って良いと思う。最初を0とするか1とするかの決め事があると思うが、ここでは、最初は0ということにしよう。1の子である、2と3のノードは、階層1になる。2の子である4のノードはさらに下の階層2。
TREE_DATAテーブルの行を見てみると、以下のようになっている。
SELECT * FROM TREE_DATA NODE_NO PARENT_NO NODE_DATA 階層 --------------------------- 1 NULL 100 -- 0 2 1 200 -- 1 3 1 300 -- 1 4 2 100 -- 2
階層をコメントで記載した。このような結果を計算したいのである。
普通のSELECT命令だけではこのような計算はできない。集計関数を使っても無理かも。ユーザ定義関数ならできるか。
そこで、WITH再帰クエリの登場となる。
初期化ブランチで検索できる行は、すべてルートノードと言って良い。なので、初期化ブランチに引っかかった行は、階層0として良い。
WITH句では、列を決定できるが、計算によって生成されるデータであっても良い。まずは、列LVLを作って、初期化ブランチで0を返してみよう。UNION ALL後の再帰クエリではとりあえず、NULLを戻しておく。
WITH td(NNO, PNO, NDATA, LVL) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA, 0 -- LVL 0を戻す FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA, NULL -- とりあえずNULL FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) SELECT * FROM td NNO PNO NDATA LVL ------------------------- 1 NULL 100 0 2 1 200 NULL 3 1 300 NULL 4 2 100 NULL
とりあえずは、ルートノードのLVLは0になった。コメントで示した階層に一つ近づいた。
では、次の段階へ進もう。
UNION ALLの後の再帰クエリで、とりあえずNULLとしたところを変更していけば、良いことはなんとなくわかるが、どうしたら良いものか。
TREE_DATAテーブルには、LVLの情報はないので、計算するしかない。tdは、一時テーブルなので、前回の再帰処理の結果がわかるはず。そうか、td.LVLを見ればOKかも?
WITH td(NNO, PNO, NDATA, LVL) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA, 0 FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA, td.LVL -- tdのLVLを戻してみる FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) SELECT * FROM td NNO PNO NDATA LVL ------------------------- 1 NULL 100 0 2 1 200 0 3 1 300 0 4 2 100 0
おっと、全部0になってしまった。
そりゃ、そうか。どっかでインクリメントしないとね。
td.LVL + 1で戻せばOKだろうか。やってみよう。
WITH td(NNO, PNO, NDATA, LVL) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA, 0 FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA, td.LVL + 1 -- これでどうだ FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) SELECT * FROM td NNO PNO NDATA LVL ------------------------- 1 NULL 100 0 2 1 200 1 3 1 300 1 4 2 100 2
いいね。
NNO=1はルートノードなので0。
NNO=2と3は、1の子ノードなので、階層は1。OKです。
NNO=4は、1->2->4といった「パス」を経由することになるので、階層は2でOK。2回遷移した(矢印が二つ)。
前回、解説していった「再帰のn回目」みたいなことが、LVLで計算できた!っていうことなんです。
TREE_DATAとtdを結合することで、再帰の前後のデータの両方を参照することができる。というのが、再帰クエリの一番の特徴なのかな。
パスから値を計算する
見事に階層を計算することができた。
最後に、NODE_DATAの合計を計算する再帰クエリを紹介してみたいと思う。
WITH td(NNO, PNO, NDATA, LVL, NDATA_TOTAL) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA, 0, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA, td.LVL + 1, TD2.NODE_DATA + td.NDATA_TOTAL FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) SELECT * FROM td NNO PNO NDATA LVL NDATA_TOTAL ----------------------------------- 1 NULL 100 0 100 2 1 200 1 300 3 1 300 1 400 4 2 100 2 400
ノード4のNDATA_TOTALに注目して欲しい。計算された値は400となっている。これは、以下の計算式で計算されたものである。
100 + 200 + 100
ノード1 -> ノード2 -> ノード4と再帰のパスを通ってくることになるのだが、その時のNDATAの値を順番に足し算していった結果がNDATA_TOTALとなる。
SUMは、グループの合計を計算する。仮にノード1,2,4と言うグループ分けができれば、SUM集計関数を使用してNDATA_TOTALを計算できなくもない。そんな変なグループ化ができないので、SUM集計関数では計算できないのである。おっと、OracleにはCONNECT BYみたいな文法があるんだっけか?これは要調査か。
再帰の循環
何も考えずに、自分自身を呼び出すと無限ループに陥る、といった話をしたかと思う。WITHの再帰クエリでは、再帰呼び出しできる場所が限定されているので、無限ループしてしまうことが少ないようになっている。
それでも、データの作り方によっては、「再帰の循環」が発生してしまうこともある。
ツリー構造では、ルートから子が生えていって、いずれは子を持たないノードになる。末端のノードは、リーフノードとも呼ばれる。
また、通常は、子ノードが祖先のノードに先祖返りしてしまうこともない。そのようになっていると、タイムリープが発生することになり、親子関係が時系列順に並ばなくなってしまう。なんか、難しい?図にしたら以下のようなことである。
1
┣ 2
┃ ┗ 4
┗ 3
┗ 1
3の子に1がある。3の親も1である。
親ノードへのポインタを持つツリー構造では、こう言ったデータを作成することはできない。上の図は無理やり描いただけ。
と思ったが、TREE_DATAテーブルでNODE_NOがプライマリキーになっていなければ可能か。TREE_DATAテーブルにもその行をプライマリキーを外して追加してみた。
SELECT * FROM TREE_DATA NODE_NO PARENT_NO NODE_DATA --------------------------- 1 NULL 100 2 1 200 3 1 300 4 2 100 1 3 90
これを先ほどの再帰クエリにかけるとどうなるのか。やってみよう。
WITH td(NNO, PNO, NDATA, LVL, NDATA_TOTAL) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA, 0, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA, td.LVL + 1, TD2.NODE_DATA + td.NDATA_TOTAL FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) SELECT * FROM td ORA-32044: 再帰的WITH問合せの実行中にサイクルが検出されました
エラーになりました。
無限ループになっちゃったわけである。
CYCLE
さて、これを回避する方法もちゃんとあります。
WITH句のオプションでCYCLEというものがある。これを使って循環を検出できるような列を書いておく。CYCLEに続けて、SET なになに、と式を書くがここはあまり重要ではなく、フラグの名前とフラグの値を0/1にします程度のこと。
WITH td(NNO, PNO, NDATA, LVL, NDATA_TOTAL) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA, 0, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA, td.LVL + 1, TD2.NODE_DATA + td.NDATA_TOTAL FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) CYCLE NNO SET LOOP_FLAG TO 1 DEFAULT 0 -- CYCLEで循環を検出させる SELECT * FROM td NNO PNO NDATA LVL NDATA_TOTAL LOOP_FLAG --------------------------------------------- 1 NULL 100 0 100 0 2 1 200 1 300 0 3 1 300 1 400 0 4 2 100 2 400 0 1 3 90 2 490 1
CYCLEに続けて、再帰の過程で記録しておくべき列を指定する。記録しておいた値が再度出現したら循環とみなし、再帰を停止する。複数であっても良いが、WITH句のパラメータにふくまれている仮想な列を指定する必要がある。
例で言うのなら、TREE_DATAテーブルのNODE_NOは、指定不可で、NNOならOK。
CYCLE 列名 の後のSET LOOP_FLAG TO 1 DEFAULT 0は、循環の検出に使用するフラグの名前と値。
WITHで定義される仮想表に自動的にこの列が追加される。面倒な指定だが省略することはできない。
フラグの値は、数値でなくてもよく、1文字の文字列でも可。SET LOOP_FLAG TO 'Y' DEFAULT 'N'とすることもできる。数値の場合でも桁数が1。
数値、文字のどちらの場合でも、ふたつ指定する値がどちらも同じであってはいけない。SET LOOP_FLAG TO 0 DEFAULT 0はダメ。違いがわからないもんね。
CYCLE指定する列は、例の場合は、NNOが適切。PNOでも循環を検出できるが、以下のように1段階、再帰が深いところまで進んで行われる。
WITH td(NNO, PNO, NDATA, LVL, NDATA_TOTAL) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA, 0, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA, td.LVL + 1, TD2.NODE_DATA + td.NDATA_TOTAL FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) CYCLE PNO SET LOOP_FLAG TO 1 DEFAULT 0 -- PNOで循環検出 SELECT * FROM td NNO PNO NDATA LVL NDATA_TOTAL LOOP_FLAG --------------------------------------------- 1 NULL 100 0 100 0 2 1 200 1 300 0 3 1 300 1 400 0 4 2 100 2 400 0 1 3 90 2 490 0 2 1 200 3 690 1 3 1 300 3 790 1
用語や方言について
WITH再帰クエリについて、解説してきた。すべて、Oracle11gで実行して検証している。SQL ServerでもWITHで再帰させることが可能ではあるものの、CYCLEが使えなかったりするので注意が必要。
PostgreSQLでは、WITH RECURSIVE ...と再帰クエリとする場合は、RECURSIVEを明示しないとダメかも。
Oracle11gではRECURSIVE指定はできない。もーまた方言作っちゃって。まぁ、CONNECT BYよりはいいか。
初期化ブランチという用語も「Oracleならでは」なのかも。UNION ALLの前後のSELECT命令をなんと呼ぶかについては結構DBによってバラバラ?
SQL標準だと、「非再帰項」と「再帰項」となっている。非再帰項は最初の初期化の時だけしか評価されないので、名前としては初期化項の方がわかりやすいと思うが。「再帰を含まない初期化クエリ」とでもしておくか。
UNION ALLの前後にどちらを書いても良い、というのが非常に嫌な感じ。説明しにくいじゃないか。
再帰についてはここまで。
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WITH 再帰クエリー
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WITH 再帰クエリ SQLポケリ [SQLポケリ]
前回は、WITH句と再帰クエリについて紹介した。今回は、その続きである。
再帰処理とツリー構造
再帰処理は、ツリー構造のデータ構造を扱う際に、よく使用される。XMLの要素はツリー構造になっている。各要素をくまなく回ってみていく際に、再帰処理を使うと簡単に書けたりする。
SQLでは表形式のデータを扱うことが多いので、再帰処理はあまり得意ではない。SELECT命令にしても、ループ処理をするための制御命令を便利にしただけという印象。
最近拡張された、WITHによって「再帰クエリ」が可能になった、というわけである。
表形式のデータでもツリー構造にすることができる。簡単に実装する方法に、親へのポインタを持つ方法がある。C
言語ならポインタとなるが、テーブルなら行番号を持たせれば良いであろう。テーブルを作成するとしたら、以下のようになる。
図にしたら以下のような感じ。
1
┣ 2
┃ ┗ 4
┗ 3
NODE_NO=1の行には親が存在しない。従って、PARENT_NOの列はNULLとなっている。
NODE_NO=1の行には、子のノードとして、NODE_NO=2と3の二つがぶら下がっている。PARENT_NOの列がどちらも1になっている。
NODE_NO=2の行には、子ノードNODE_NO=4がある。
NODE_NO=3と4の行には、子ノードが存在しない。
PARENT_NOがNULLである行は、子ノードを持たない、いわゆるルートノードである。これは以下のようなSELECT命令で取得できる。
ルートノードは、NODE_NO=1の行が一つだけということがわかる。
ノード1の子ノードを列挙しなさい、と言われたら、以下のSELECT命令で取得できる。
NODE_NO=2と3の二つの子ノードがある。
さらに、ノード2の子ノードを列挙するなら以下とすればOK
そんなに難しくない。
ノード3なら以下。
ノード3には子ノードが存在しないので、結果は空となる。
これらのSELECT命令を順に実行できれば、ツリー構造を「舐めた」と言えるのであるが、PARENT_NO=1とか、2とかの条件はツリー構造の図から人力で拾ってきた。ここをSELECT命令でなんとか書きたいっていうのが再帰クエリの主な目的。
WITHを使うとできるようになっちゃうのだが、この書き方がちょっと慣れが必要。
まず、WITH内のSELECT命令に、UNION ALLが必要。それに、初期化ブランチというものが必要であることは、前でも述べた。
初期化ブランチというのは、初期化を行うためのクエリで、「ツリー構造を舐める」クエリの場合、ルートノードを見つけるというのが初期化ブランチになる。ブランチ、と呼んでいるが、UNION ALLで繋げたクエリのどちらか、と考えるとスッキリするかも知れない。
初期化ブランチでは、再帰呼び出しをしてはいけない。再帰呼び出しをすると無限ループになるからね。
前記事でのWITH再帰クエリをもう一度見てみよう。
エラーとなってしまうのは、UNION ALLで繋げた両方のクエリで再帰呼び出しになってしまっているから。以下のように変更して実行してみると、エラーの様子が変化する。
しかし、これでもエラーになってしまっている。「サイクルが検出」というのは、無限ループに陥ってますよ、と言うこと。UNION ALLで繋げた後の方のクエリで再帰している。
ここの再帰の様子を変更すれば、実行可能な再帰クエリとなる。TREE_DATAの例でやってみよう。
UNION ALLの前のクエリは、初期化ブランチである。切り出してよく見てみよう。
PARENT_NOがNULLである、ルートノードを取り出すためのクエリである。再帰となっていないため、単独で実行できる。
以下は、UNION ALLの後のクエリである。
tdは、WITHで定義したインラインビューである。自分を再帰的に呼び出している部分でもある。そのtdとTREE_DATAを結合している。TD2はTREE_DATAに付けた別名である。
tdを定義中の一部分であるため、取り出して単独で実行することはできない。
tdの定義で、列名を指定している。そのため、tdは以下の列を持っているようになる。
NNO
PNO
NDATA
仮想的な表、tdとTREE_DATAテーブルを結合している。tdの元は、TREE_DATAテーブルなので、自己結合しているようなものだが、単純に一つの同じテーブルを横に並べただけではなく、「再帰呼び出しで得られた結果のテーブルを結合」している感じになる。
結合条件が、td.NNO = TD2.PARENT_NOとなっていることが最大のポイントなわけである。
なんとなくわかってきたと思うが、まだしっかり把握できたわけではないと思うので、再帰処理を順を追ってみていくことにしよう。
再帰の1回目
WITH句の外で、tdを参照する。その最初の参照で、どうなるかというと、初期化ブランチだけの実行結果が一時表に格納される。初期化ブランチは以下のようになっていた。
NODE_NO=1だけの行が一時表に格納される。初期化だからなんとなく納得頂けるのではないかと思う。
再帰の2回目
で、この一時表の結果をさらに、WITH内のクエリにかけるのである。この時、tdの内容が仮に、一時表のものとなる。
td.NNO、td.PNO、td.NDATAは、参考情報である。クエリで取得していないため、戻されることはない。
UNION ALLの後のクエリでPARENT_NO=1となっている行が結合条件に引っかかり、NNO=2と3の二つの行が増えている。一時表には、増えた分の行だけが追加されていくことになる。UNION ALLだからと言って、重複して結果が戻されることはない。
再帰の3回目
前回の呼び出しと、今回の呼び出しで、行が増えている限り、再帰呼び出しが継続する。3回目の再帰処理も行われる。
NNO=4の行が増えた。
増えたので、4回目の再帰も行われる。
再帰の4回目
3回目でNNO=4の行が増えたが、PARENT_NO=4である行が存在しないので、結果として行が増えなかった。そのため、再帰呼び出しは、4回目で終了となる。
わかって頂けたであろうか。
これが、再帰クエリの基本である。
もう、「こういうパターンで再帰クエリは書くもの」と覚えてしまった方が良いかも知れない。
ポイントとしては、以下のようになる。
再帰クエリ
1 WITH内には、UNION ALLで二つのSELECT命令を書く
2 二つのSELECT命令のうち、一つは初期化ブランチなので、再帰呼び出しをしてはいけない
3 二つのSELECT命令のうち、もう一つは再帰呼び出しをして良いが、呼び出し前の一時表結果と結合する
4 呼び出し前の一時表結果との結合条件は、親子関係を示す「PARENT_NO = NODE_NO」のようなものとなる
しかしながら、得られた結果にどう言った意味があるのか?
少々疑問ではないだろうか。
単に、全レコードを取得できただけ?それならば、SELECT * FROM TREE_DATAで十分では?
はい、このクエリではその通りです。
えー、じゃあ再帰クエリを使う意味って...
大丈夫、再帰の場合は、計算方法が異なる。再帰処理の特徴を使えば、再帰処理ならではの計算ができるようになる。
まぁ、急ぐこともあるまい。次回に期待?して欲しい。
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再帰処理とツリー構造
再帰処理は、ツリー構造のデータ構造を扱う際に、よく使用される。XMLの要素はツリー構造になっている。各要素をくまなく回ってみていく際に、再帰処理を使うと簡単に書けたりする。
SQLでは表形式のデータを扱うことが多いので、再帰処理はあまり得意ではない。SELECT命令にしても、ループ処理をするための制御命令を便利にしただけという印象。
最近拡張された、WITHによって「再帰クエリ」が可能になった、というわけである。
表形式のデータでもツリー構造にすることができる。簡単に実装する方法に、親へのポインタを持つ方法がある。C
言語ならポインタとなるが、テーブルなら行番号を持たせれば良いであろう。テーブルを作成するとしたら、以下のようになる。
CREATE TABLE TREE_DATA ( NODE_NO INTEGER NOT NULL PRIMARY KEY, PARENT_NO INTEGER, NODE_DATA INTEGER ); INSERT INTO TREE_DATA VALUES(1, NULL, 100); INSERT INTO TREE_DATA VALUES(2, 1, 200); INSERT INTO TREE_DATA VALUES(3, 1, 300); INSERT INTO TREE_DATA VALUES(4, 2, 100);
図にしたら以下のような感じ。
1
┣ 2
┃ ┗ 4
┗ 3
NODE_NO=1の行には親が存在しない。従って、PARENT_NOの列はNULLとなっている。
NODE_NO=1の行には、子のノードとして、NODE_NO=2と3の二つがぶら下がっている。PARENT_NOの列がどちらも1になっている。
NODE_NO=2の行には、子ノードNODE_NO=4がある。
NODE_NO=3と4の行には、子ノードが存在しない。
PARENT_NOがNULLである行は、子ノードを持たない、いわゆるルートノードである。これは以下のようなSELECT命令で取得できる。
SELECT * FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL NODE_NO PARENT_NO NODE_DATA ----------------------------- 1 NULL 100
ルートノードは、NODE_NO=1の行が一つだけということがわかる。
ノード1の子ノードを列挙しなさい、と言われたら、以下のSELECT命令で取得できる。
SELECT * FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO = 1 NODE_NO PARENT_NO NODE_DATA ----------------------------- 2 1 200 3 1 300
NODE_NO=2と3の二つの子ノードがある。
さらに、ノード2の子ノードを列挙するなら以下とすればOK
SELECT * FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO = 2 NODE_NO PARENT_NO NODE_DATA ----------------------------- 4 2 100
そんなに難しくない。
ノード3なら以下。
SELECT * FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO = 3 NODE_NO PARENT_NO NODE_DATA -----------------------------
ノード3には子ノードが存在しないので、結果は空となる。
これらのSELECT命令を順に実行できれば、ツリー構造を「舐めた」と言えるのであるが、PARENT_NO=1とか、2とかの条件はツリー構造の図から人力で拾ってきた。ここをSELECT命令でなんとか書きたいっていうのが再帰クエリの主な目的。
WITHを使うとできるようになっちゃうのだが、この書き方がちょっと慣れが必要。
まず、WITH内のSELECT命令に、UNION ALLが必要。それに、初期化ブランチというものが必要であることは、前でも述べた。
初期化ブランチというのは、初期化を行うためのクエリで、「ツリー構造を舐める」クエリの場合、ルートノードを見つけるというのが初期化ブランチになる。ブランチ、と呼んでいるが、UNION ALLで繋げたクエリのどちらか、と考えるとスッキリするかも知れない。
初期化ブランチでは、再帰呼び出しをしてはいけない。再帰呼び出しをすると無限ループになるからね。
前記事でのWITH再帰クエリをもう一度見てみよう。
WITH vfoo(a) AS ( SELECT a FROM vfoo UNION ALL SELECT a FROM vfoo ) SELECT * FROM vfoo ORA-32043: 再帰的WITH句には初期化ブランチが必要です
エラーとなってしまうのは、UNION ALLで繋げた両方のクエリで再帰呼び出しになってしまっているから。以下のように変更して実行してみると、エラーの様子が変化する。
WITH vfoo(a) AS ( SELECT a FROM foo WHERE a = 'A' -- 再帰しない UNION ALL SELECT a FROM vfoo ) SELECT * FROM vfoo ORA-32044: 再帰的WITH問合せの実行中にサイクルが検出されました
しかし、これでもエラーになってしまっている。「サイクルが検出」というのは、無限ループに陥ってますよ、と言うこと。UNION ALLで繋げた後の方のクエリで再帰している。
ここの再帰の様子を変更すれば、実行可能な再帰クエリとなる。TREE_DATAの例でやってみよう。
WITH td(NNO, PNO, NDATA) AS ( SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO ) SELECT * FROM td NNO PNO NDATA ----------------- 1 NULL 100 2 1 200 3 1 300 4 2 100
UNION ALLの前のクエリは、初期化ブランチである。切り出してよく見てみよう。
SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL
PARENT_NOがNULLである、ルートノードを取り出すためのクエリである。再帰となっていないため、単独で実行できる。
以下は、UNION ALLの後のクエリである。
SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 ON td.NNO = TD2.PARENT_NO
tdは、WITHで定義したインラインビューである。自分を再帰的に呼び出している部分でもある。そのtdとTREE_DATAを結合している。TD2はTREE_DATAに付けた別名である。
tdを定義中の一部分であるため、取り出して単独で実行することはできない。
tdの定義で、列名を指定している。そのため、tdは以下の列を持っているようになる。
NNO
PNO
NDATA
仮想的な表、tdとTREE_DATAテーブルを結合している。tdの元は、TREE_DATAテーブルなので、自己結合しているようなものだが、単純に一つの同じテーブルを横に並べただけではなく、「再帰呼び出しで得られた結果のテーブルを結合」している感じになる。
結合条件が、td.NNO = TD2.PARENT_NOとなっていることが最大のポイントなわけである。
なんとなくわかってきたと思うが、まだしっかり把握できたわけではないと思うので、再帰処理を順を追ってみていくことにしよう。
再帰の1回目
WITH句の外で、tdを参照する。その最初の参照で、どうなるかというと、初期化ブランチだけの実行結果が一時表に格納される。初期化ブランチは以下のようになっていた。
SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL NNO PNO NDATA ----------------- 1 NULL 100
NODE_NO=1だけの行が一時表に格納される。初期化だからなんとなく納得頂けるのではないかと思う。
再帰の2回目
で、この一時表の結果をさらに、WITH内のクエリにかけるのである。この時、tdの内容が仮に、一時表のものとなる。
SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 -- tdの内容は再帰の1回目の実行結果となる ON td.NNO = TD2.PARENT_NO NNO PNO NDATA td.NNO td.PNO td.NDATA ----------------- 1 NULL 100 -- 初期化ブランチで得られる 2 1 200 1 NULL 100 3 1 300 1 NULL 100
td.NNO、td.PNO、td.NDATAは、参考情報である。クエリで取得していないため、戻されることはない。
UNION ALLの後のクエリでPARENT_NO=1となっている行が結合条件に引っかかり、NNO=2と3の二つの行が増えている。一時表には、増えた分の行だけが追加されていくことになる。UNION ALLだからと言って、重複して結果が戻されることはない。
再帰の3回目
前回の呼び出しと、今回の呼び出しで、行が増えている限り、再帰呼び出しが継続する。3回目の再帰処理も行われる。
SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 -- tdの内容は再帰の2回目の実行結果となる ON td.NNO = TD2.PARENT_NO NNO PNO NDATA td.NNO td.PNO td.NDATA ----------------- 1 NULL 100 -- 初期化ブランチで得られる 2 1 200 1 NULL 100 -- 2回目の実行で得られる 3 1 300 1 NULL 100 -- 2回目の実行で得られる 4 2 100 2 1 200
NNO=4の行が増えた。
増えたので、4回目の再帰も行われる。
再帰の4回目
SELECT NODE_NO, PARENT_NO, NODE_DATA FROM TREE_DATA WHERE PARENT_NO IS NULL UNION ALL SELECT TD2.NODE_NO, TD2.PARENT_NO, TD2.NODE_DATA FROM td INNER JOIN TREE_DATA TD2 -- tdの内容は再帰の3回目の実行結果となる ON td.NNO = TD2.PARENT_NO NNO PNO NDATA td.NNO td.PNO td.NDATA ----------------- 1 NULL 100 -- 初期化ブランチで得られる 2 1 200 1 NULL 100 -- 2回目の実行で得られる 3 1 300 1 NULL 100 -- 2回目の実行で得られる 4 2 100 2 1 200 -- 3回目の実行で得られる
3回目でNNO=4の行が増えたが、PARENT_NO=4である行が存在しないので、結果として行が増えなかった。そのため、再帰呼び出しは、4回目で終了となる。
わかって頂けたであろうか。
これが、再帰クエリの基本である。
もう、「こういうパターンで再帰クエリは書くもの」と覚えてしまった方が良いかも知れない。
ポイントとしては、以下のようになる。
再帰クエリ
1 WITH内には、UNION ALLで二つのSELECT命令を書く
2 二つのSELECT命令のうち、一つは初期化ブランチなので、再帰呼び出しをしてはいけない
3 二つのSELECT命令のうち、もう一つは再帰呼び出しをして良いが、呼び出し前の一時表結果と結合する
4 呼び出し前の一時表結果との結合条件は、親子関係を示す「PARENT_NO = NODE_NO」のようなものとなる
しかしながら、得られた結果にどう言った意味があるのか?
少々疑問ではないだろうか。
単に、全レコードを取得できただけ?それならば、SELECT * FROM TREE_DATAで十分では?
はい、このクエリではその通りです。
えー、じゃあ再帰クエリを使う意味って...
大丈夫、再帰の場合は、計算方法が異なる。再帰処理の特徴を使えば、再帰処理ならではの計算ができるようになる。
まぁ、急ぐこともあるまい。次回に期待?して欲しい。
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SQL WITH句 再帰クエリー RECURSIVE SQLポケリ [SQLポケリ]
最近、SQLネタをブログにアップしている。本日もSQLネタである。
少し前から、WITH句というものが使えるようになっている。
Oracleだと9iから使えるのか。割と昔からあるじゃない。SQLポケリには載っていない。
(改訂第4版には載ってます)。
WITHを使うと、長ったらしいサブクエリを何回も書かなくてよくなる。
これは便利。
CREATE VIEWをSELECT命令内でやってしまうようなもの。
具体例を示しながら解説してみる。
といったSELECT命令をサブクエリで何回も使いたいとする。
ビューを定義してしまえば、話は簡単。
vfoobarという名前のビューを定義した。
vfoobarをテーブルのように使用できるから、長ったらしいfooとbarをa列で結合して...といったSELECT命令をvfoobarという名前だけで使用できるようになる。
ほらね。
vfoobarのところを、SELECT foo.a, bar.b FROM foo INNER...というSELECT命令に脳内で置換してみてください。
なんだかよくわからない、複雑なクエリになってしまうことがわかる。
WITH句を使えば、こういったことを、ビューを作らないで一気にやってしまうことができる。
なるほど。やっぱりこれは便利。
便利なWITH句ではあるが、本来は「再帰クエリー」というものを想定して作られたものらしい。再帰クエリーとはいったいどういったものなのであろうか。
と偉そうに書いてみたが、再帰という概念は説明するのがけっこう難しい。自分の中に自分があるような感じ。プログラミングの場合、関数の再帰呼び出し、ということをよく耳にするかと思う。関数の再帰呼び出しなら、ある関数の内部処理で、自分自身を「再帰的に」呼び出す、というもの。
よく考えずに、関数の再帰呼び出しを行うと、無限ループに陥ることになる。なぜかというと、自分が自分を呼び出して、さらに呼び出された自分も自分を呼び出すので...
通常の関数は、引数をスタックに積む。無限ループといっても、スタックが足りなくなった時点で異常終了する。また、よく考えられた再帰呼び出しは、ちゃんといつかは終了するようにして作成する。
さて、SQLに戻って再帰クエリーである。
ビューを作成する際に、SELECT命令を記述することになるのだが、そのSELECT命令に定義中のビューを使用することはできない。
なぜなら、そのビューはまだ作成されていないから。
CREATE VIEWでviewxxを作成中に、ビューのSELECT命令でviewxxを使うことはできない。
まぁ、そりゃそうだよね。再帰関数呼び出しで、無限ループに陥ってしまうことと同じ問題である。
試しに、上記のCREATE VIEWをOracleでやってみたら、エラーになった。
SQLエラー: ORA-01731: 循環ビュー定義が検出されました
01731. 00000 - "circular view definition encountered"
へー、「循環ビュー」っていうのか。
ビューでは、エラーになるものの、WITH句では、これが許されているのである。
マジか?無限ループにならないのか?
やってみよう。
えー、そうなの。めんどくさー
また、エラーになってしまった。
UNION ALLが必要?
ふえーん。初期化ブランチとはいったい。
要は、再帰呼び出しで無限ループに陥らないように、ちゃんと中のクエリを定義しなさい、ということ。WITHの中で、自分自身を使っても循環ビューのエラーにはならない。
再帰クエリーにする場合は、列指定が必要。再帰クエリーの中には、自分自身を含めてよいが、UNION ALLと初期化ブランチが必要。というところまでわかった。
本日は、ここまでとする。
改訂第4版SQLポケリには、WITH句、WITH再帰クエリが載ってます。
ですが、WITH RECURSIVEのRECURSIVEを書くとエラーになります、とある。これは間違いではないのだが、SQLiteでの話が抜けている。そもそもSQLiteがWITH RECURSIVEに対応していないことになっている。スミマセン。
整理すると以下のような状況である。
PostgreSQL RECURSIVEを書く必要あり
SQLite RECURSIVEを省略可能
その他 RECURSIVEは書いてはいけない
ということで、訂正は以下のようになる。
77ページ
【誤】
PostgreSQLの場合、再帰クエリーを実行する際には、WITHの後に
RECURSIVEをキーワードを指定する必要があります。他のデータベースでは
RECURSIVEを指定するとエラーになります。
【正】
PostgreSQLの場合、再帰クエリーを実行する際には、WITHの後に
RECURSIVEをキーワードを指定する必要があります。SQLiteでは、RECURSIVE
を省略可能です。他のデータベースではRECURSIVEを指定するとエラーになります。
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WITH句
少し前から、WITH句というものが使えるようになっている。
Oracleだと9iから使えるのか。割と昔からあるじゃない。SQLポケリには載っていない。
(改訂第4版には載ってます)。
WITHを使うと、長ったらしいサブクエリを何回も書かなくてよくなる。
これは便利。
CREATE VIEWをSELECT命令内でやってしまうようなもの。
具体例を示しながら解説してみる。
SELECT foo.a, bar.b FROM foo INNER JOIN bar ON foo.a = bar.a
といったSELECT命令をサブクエリで何回も使いたいとする。
ビューを定義してしまえば、話は簡単。
CREATE VIEW vfoobar AS SELECT foo.a, bar.b FROM foo INNER JOIN bar ON foo.a = bar.a
vfoobarという名前のビューを定義した。
vfoobarをテーブルのように使用できるから、長ったらしいfooとbarをa列で結合して...といったSELECT命令をvfoobarという名前だけで使用できるようになる。
SELECT * FROM vfoobar WHERE a = (SELECT MIN(a) FROM vfoobar) OR a = (SELECT MAX(a) FROM vfoobar)
ほらね。
vfoobarのところを、SELECT foo.a, bar.b FROM foo INNER...というSELECT命令に脳内で置換してみてください。
なんだかよくわからない、複雑なクエリになってしまうことがわかる。
WITH句を使えば、こういったことを、ビューを作らないで一気にやってしまうことができる。
WITH foobar AS ( SELECT foo.a, bar.b FROM foo INNER JOIN bar ON foo.a = bar.a ) SELECT * FROM foobar WHERE a = (SELECT MIN(a) FROM foobar) OR a = (SELECT MAX(a) FROM foobar)
なるほど。やっぱりこれは便利。
WITH RECURSIVE
便利なWITH句ではあるが、本来は「再帰クエリー」というものを想定して作られたものらしい。再帰クエリーとはいったいどういったものなのであろうか。
と偉そうに書いてみたが、再帰という概念は説明するのがけっこう難しい。自分の中に自分があるような感じ。プログラミングの場合、関数の再帰呼び出し、ということをよく耳にするかと思う。関数の再帰呼び出しなら、ある関数の内部処理で、自分自身を「再帰的に」呼び出す、というもの。
よく考えずに、関数の再帰呼び出しを行うと、無限ループに陥ることになる。なぜかというと、自分が自分を呼び出して、さらに呼び出された自分も自分を呼び出すので...
通常の関数は、引数をスタックに積む。無限ループといっても、スタックが足りなくなった時点で異常終了する。また、よく考えられた再帰呼び出しは、ちゃんといつかは終了するようにして作成する。
さて、SQLに戻って再帰クエリーである。
ビューを作成する際に、SELECT命令を記述することになるのだが、そのSELECT命令に定義中のビューを使用することはできない。
なぜなら、そのビューはまだ作成されていないから。
CREATE VIEWでviewxxを作成中に、ビューのSELECT命令でviewxxを使うことはできない。
CREATE VIEW vfoo AS SELECT * FROM vfoo
まぁ、そりゃそうだよね。再帰関数呼び出しで、無限ループに陥ってしまうことと同じ問題である。
試しに、上記のCREATE VIEWをOracleでやってみたら、エラーになった。
SQLエラー: ORA-01731: 循環ビュー定義が検出されました
01731. 00000 - "circular view definition encountered"
へー、「循環ビュー」っていうのか。
ビューでは、エラーになるものの、WITH句では、これが許されているのである。
マジか?無限ループにならないのか?
やってみよう。
WITH vfoo AS ( SELECT a FROM vfoo ) SELECT * FROM vfoo ORA-32039: 再帰的WITH句には列別名リストが必要です 32039. 00000 - "recursive WITH clause must have column alias list"
えー、そうなの。めんどくさー
WITH vfoo(a) AS ( SELECT a FROM vfoo ) SELECT * FROM vfoo ORA-32040: 再帰的WITH句にはUNION ALL操作を使用する必要があります 32040. 00000 - "recursive WITH clause must use a UNION ALL operation"
また、エラーになってしまった。
UNION ALLが必要?
WITH vfoo(a) AS ( SELECT a FROM vfoo UNION ALL SELECT a FROM vfoo ) SELECT * FROM vfoo ORA-32043: 再帰的WITH句には初期化ブランチが必要です 32043. 00000 - "recursive WITH clause needs an initialization branch"
ふえーん。初期化ブランチとはいったい。
要は、再帰呼び出しで無限ループに陥らないように、ちゃんと中のクエリを定義しなさい、ということ。WITHの中で、自分自身を使っても循環ビューのエラーにはならない。
再帰クエリーにする場合は、列指定が必要。再帰クエリーの中には、自分自身を含めてよいが、UNION ALLと初期化ブランチが必要。というところまでわかった。
本日は、ここまでとする。
改訂第4版SQLポケリには、WITH句、WITH再帰クエリが載ってます。
ですが、WITH RECURSIVEのRECURSIVEを書くとエラーになります、とある。これは間違いではないのだが、SQLiteでの話が抜けている。そもそもSQLiteがWITH RECURSIVEに対応していないことになっている。スミマセン。
整理すると以下のような状況である。
PostgreSQL RECURSIVEを書く必要あり
SQLite RECURSIVEを省略可能
その他 RECURSIVEは書いてはいけない
ということで、訂正は以下のようになる。
77ページ
【誤】
PostgreSQLの場合、再帰クエリーを実行する際には、WITHの後に
RECURSIVEをキーワードを指定する必要があります。他のデータベースでは
RECURSIVEを指定するとエラーになります。
【正】
PostgreSQLの場合、再帰クエリーを実行する際には、WITHの後に
RECURSIVEをキーワードを指定する必要があります。SQLiteでは、RECURSIVE
を省略可能です。他のデータベースではRECURSIVEを指定するとエラーになります。
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